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DELETE。
朝つゆの落ちる目覚め。肌の感覚なんて失われてもう久しく。君も僕も初めから存在しなかったかのように。一日は明けて、終わる。忍び足で近づいてきた想い出は、振り返れば舌を出して立ち去っていて。それが無性に寂しくて、僕らは。 未来とか今とか関係ない時間と場所にいて。 はるか遠くに見えるのは子供たちの影で。 壊れてしまったAIと遊んでいるのは誰ですか? 僕が見たかったのは守られるべき魂で、 ビジネスパーソンが利益をあげる間に、友だちが戦争に駆り出される光景じゃなかった。ザンネンデス。涙ながらに話をしているのだけれど、貴方にはただの笑い話、世迷言にしか聞こえないのでしょうね。 一生懸命僕たちは生きてきたつもりだけど、 多分これで最後です。貴方と話をするのは。 何も通じず何も分かり合えなかった。遠くで聞こえたのは泣き声。 すべてが時間の無駄で徒労でどうしようもなく無価値な代物で。 残念ながら「ボクタチは時代と結ばれるウンメイになかったのです」 嘆くしかないが、ガラクタはガラクタとして生きていくしかない。 人間は削られていく。跡形もなく。野良猫はどこかへ消えた。 人間は削られて。空を飛んでいたのはいつの頃か。そんな記憶さえなくしてしまった。雲を突き抜けるブランコは一回転して、僕らにアッカンベーをしたのさ。まだ足りないかい? 人間は削られていく。どうしても避けられない。君が何をしたかったのかなんて今さら思い出せないよ。悲しいことにね。あー。ナミダだ。 人工猫の誕生日を迎えても、何も奇跡なんて起こらないことを知って。 感情とか息遣いとかましてや個性なんてどうでもいいと罵られる時代ですよ。 それでも何がしか足跡を残したくてもがいてるんでしょう。冷めたフリをしてくすぶってるんですよ、腹の底では情熱とか呼ばれた何かが。遊んでいるフリをして考えているのは僕たちの行く末、進むべき道で、狂っていると言われようが稚拙だと言われようがそれは揺るぎないマッコトで。 ワカッテマス。僕たちが異常なんでしょう。引きずったのは昨日口説きそこねた女の話じゃなくて、ただただ何も成し遂げられなかった後悔。後悔。大後悔ですよ。ザンネンデスネ。僕らの人生を全削除です。なのにたかぶるのは詩情。上々なテンションで落下。容態は悪化。 カンラカンラと笑う声。カンラカンラと笑う声。カンラカンラと笑う声。遠くへ逃げていく子供たちは今でも陽気です。きっと僕たちが台無しにした将来を信じているんでしょう。今この瞬間にも僕たちはその間違いに気づけますか? 色、匂い、輪郭、手触り、そのすべてを信じてイノチを注ぎ込みたい。 君の歌声を聴きたいです。野ざらしにされた舞台の上で。 君の声を、言葉を聴きたいです。回りつづける時計の針は決して僕らのベクトルとは一致しないかもしれない。それでも。 君の歌声を聴きたいです。いつも通りになることなんて何一つないけれど、君の笑顔が笑い声が、そんなものが僕を幸せにしてくれるんです。 君の声を、言葉を。 何を探していますか?何を求めていますか?オシエテイタダケマスカ?あー。これも血だ。 伸びていく声は何かの道しるべで、僕たちはその指し示す通り歩いてきたつもりだけど、やがてそれも終わる。全DELETE。
DELETE。 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1683.9
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 18
作成日時 2019-12-12
コメント日時 2019-12-27
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 7 | 7 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 5 | 5 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 3 | 3 |
構成 | 3 | 3 |
総合ポイント | 18 | 18 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 3.5 | 3.5 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 2.5 | 2.5 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 1.5 | 1.5 |
構成 | 1.5 | 1.5 |
総合 | 9 | 9 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
stereotype2085 さんの詩の世界に溺れ死んでしまったので、今日の私の世界は、またも終わりました。私も 今日も めでたく、ご愁傷さまになりました。ありがとうございます。 この詩の最後は「君の声を、言葉を。」というように 君の声や笑顔を求めていますが、読者自身の発語を 声を 誘発する作品であると、私は感じました。 この詩を読むことで、私は、なにか、なになんだかは、うまくいえませんが、なにかが言いたくなる。 この詩は、読点【、】あろう箇所が、句点【。】でしめされており、【。】から【。】までの文章量が、実際に朗読をおこなったとして おそらく適切な文章量で区切られていますね。これは、つまり。この詩文の骨をレントゲンのような心で透かせてみれば、今月のほうひとつの作品と 本作品は、おなじことが おっしゃりたかったのだと、私は感じました。おわりからやさしみのしとねでとけてまた、めざめる……みたいな……。 >僕らの人生を全削除です。なのにたかぶるのは詩情。上々なテンションで落下。容態は悪化。 ↑ ここなんて、発音したい!です。ラップですか? けれど、この詩は、人生を終えるかのように一日をささやきながらクローズさせる今月のほうひとつの作品【また明日】のように、おわることから結ばれようとしている。てそのように、たかぶる詩情だと思いました。全作【また明日】は朗読ありきの作品でしたが、この作品もまた 朗読であるべき作品だと個人的には思いました。
0×今月のほうひとつの作品【また明日】 〇今月のもうひとつの作品 誤字訂正いたします。
0るるさん、コメントありがとうございます。返信遅れに遅れました。この詩は、そうですね。何か一つの方向性の終わりを自覚しながら書いたものです。でもまだその方向性に未練というか、執着があるから嘆き節のようになっている。構造としては若さや衝動性が一欠けらずつ失われていく最中、それでももがいて「君」を求めていると言ったら格好つけすぎでしょうか。とにかくこの詩は「DELETE。」というタイトルが表すように、何かの終わり、一つの物語の終焉、削除される何かを指し示したものです。まだまだ足りないものが多いですが、この詩は次の詩的な世界観へのステップ、足がかりとなることでしょう。 「。」の使い方とか、朗読であるべき作品ではないかとの指摘はさすがるるりらさんだな、と思いました。深く読み取っていただきありがとうございます。ラップも意識しましたね。やはり。
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