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台所の廃墟
ガラス瓶は古代遺跡か 墓のように寂として直立して、ある ピクルスを漬けた叔母の形見 家と遺体を処理する金だけを 残して叔母は死んだ、終活は滞りなく 家の中はがらん、として人の気配は 消えて三十年前に死んだマルチーズの 首輪がテーブルに置いてあった 兄はアラジンのアンティークな白いストーブ 父は特に何も、母はティーセットを一式 残っていたのはピクルスの瓶たちと 首輪だけで捨てるのも忍びないから 首輪を使って輪投げをしてる 直立する瓶を並べ替えて 段々と右肩下がりに したり左肩下がりにしたり 凸凹に置き換えたり凹凸にしたり 首輪を王冠のように引っ掛けてやる 胡瓜にパプリカ、キャベツの芯にらっきょう 瓶の中で眠る王族たち、やはり墓場だ 古代墳墓が台所に直立して 蓋を開けたら墓荒らし だからまだピクルスの瓶たちは 静かに直立している、猫たちが たまにその間を街路のように 縫っていく、台所に佇む廃墟
台所の廃墟 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1800.7
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 88
作成日時 2019-12-01
コメント日時 2019-12-05
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 8 | 6 |
前衛性 | 5 | 5 |
可読性 | 5 | 5 |
エンタメ | 12 | 10 |
技巧 | 9 | 8 |
音韻 | 38 | 34 |
構成 | 11 | 8 |
総合ポイント | 88 | 76 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 1.6 | 2 |
前衛性 | 1 | 0 |
可読性 | 1 | 0 |
エンタメ | 2.4 | 2 |
技巧 | 1.8 | 1 |
音韻 | 7.6 | 5 |
構成 | 2.2 | 3 |
総合 | 17.6 | 20 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
叔母が亡くなった後の台所を廃墟と喩えて 残されたものたちの息遣いが聞こえてきそうです。 宝石のような色とりどりのピクルスの瓶を 古代遺跡に喩えているところや それらの瓶に向かって、形見のマルチーズの首輪で 輪投げするというユーモア感 歌については、 >だからまだピクルスの瓶たちは >静かに直立している、猫たちが >たまにその間を街路のように >縫っていく、台所に佇む廃墟 ここの部分が好きです。 ピクルスの瓶が置いてあるのではなく、 ピクルスの瓶たちが静かに直立している という表現が、面白いです。
0つつみ 様 色とりどりのピクルスの瓶やそれがそこにあることに意味などないのでしょうけれど、ただあるものの組み合わせ(猫とピクルスの瓶と台所など)に趣きを感じることがあります。そこに向かって残された首輪を投げてみる、ふとわいた感情を投げてみる。そんなすごく意味がありそうでないような、そんな感覚で書いていた気がします。歌もたのしんでいただけたようで嬉しい限りです。
0Yoshi 様 日本語のルンバ、愉快! 音楽的素養が0と言われたことのある僕にはなかなか敷居が高いですが、今回歌ってくれたアニヤンスタジオさんは興味を持たれるかも。あー、でも動画いいですね。 でもしんだわけじゃない、が耳に残る。
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