反転 - B-REVIEW
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PICK UP - REVIEW

ことば

ことばという幻想

純粋な疑問が織りなす美しさ。答えを探す途中に見た景色。

花骸

大人用おむつの中で

すごい

これ好きです 世界はどう終わっていくのだろうという現代の不安感を感じます。



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反転    

紫の空が落ちれば その半球に 眼球が一面に貼り付いていた 眼球はぬるりと方向を変え その全てがこちらに焦点を向けた時 下を向くと 黒い水溜まりの中に 幾つもの人影が 伸び縮みしている 覗きこんでいる 黒い目玉をじっと据えている ヘッドライトが360度 不規則にぐるぐると辺りを照らすが 周りにいる人間は 皆陶器のように青ざめていて 半月のように裂けた口を カラカラ鳴らして笑う その少し上で 半月のように虚ろな目は ただ直線上を見据えるのみ 反転 太陽はもう光を与えない 雲が流れを止めどろりと地に落ちる 川の水が流れを止め蒸発してゆく 酸素が徐々に薄くなってきた 息が苦しい 蕾が次々と腐り落ちてゆく ひび割れた葉がそのまま硬化する 銅像の手はぼろぼろと崩れ落ちた ただ煌々と 無機質な月光がそれらを照らして 螺旋を描いて空へと落ちてゆく らんちゅうの群れ その尾ひれが 啄まれる度に崩れ散った きらきらと光を四散させる姿が ただ美しいのみ  手足の先が凍りつく そうか 空へ行くこともできないと悟る 目を瞑る 少しうたを歌った 太陽に手をかざすふりをして  一粒だけ涙を流す 後はもう何も考えない その時が来るまで 目を瞑る


反転 ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 7
P V 数 : 1797.2
お気に入り数: 0
投票数   : 0
ポイント数 : 23

作成日時 2019-11-12
コメント日時 2019-11-16
#テキスト
項目全期間(2025/04/10現在)投稿後10日間
叙情性1010
前衛性22
可読性55
エンタメ11
技巧22
音韻00
構成33
総合ポイント2323
 平均値  中央値 
叙情性3.33
前衛性0.70
可読性1.71
 エンタメ0.30
技巧0.70
音韻00
構成11
総合7.77
閲覧指数:1797.2
2025/04/10 01時39分56秒現在
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    作品に書かれた推薦文

反転 コメントセクション

コメント数(7)
karadaki
karadaki
(2019-11-13)

>蛾兆ボルカ さん コメントありがとうございます 前半から後半にかけての視点移り変わりや、 自分の視点が逆に世界を縛り付けているという指摘などから、 自分でもはっきりとは気づいてなかったようなことに気づくことができました 詳細に読んで頂きありがとうございます これは、反転してしまった世界を自分では変えることもできず、その退廃を静かに享受するというイメージで書きました 周囲が劇的に変わることは無くとも自分の脳内のフィルターが狂えば世界は簡単に崩れてしまうのではないか と考え、 そのような時に感じ得るだろう恐怖や絶望、圧迫感とそれに対する諦めや享受を表現しました 視線の圧迫感や絶望感 それと、目を瞑ることによる解放について言及してくださってとても嬉しいです

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渡辺八畳
(2019-11-13)

こぉれは、聴覚以外の感覚をすごく刺激する作品ですね。

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karadaki
karadaki
(2019-11-13)

>渡辺八畳@祝儀敷 さん ありがとうございます(0ν0)

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/舜舜
/舜舜
(2019-11-14)

>ひび割れた葉がそのまま硬化する ボルカさんが重力なら、 俺はそのまま「凍え」を感じた。 それを美しく美しく表現されている。 一節目の360度見張る黒い眼差しが作品終盤まで活きている。 >目を瞑る 少しうたを歌った 俺はホラー映画が好きだから、こんなエンディングの作品を是非とも一度体験したい。もちろんこの作品は言葉のみで充分に感動できた。

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karadaki
karadaki
(2019-11-14)

>舜舜 さん コメントありがとうございます 世界が反転して朽ちていく様子を「凍え」と表現してくださったことが、 美しくて、嬉しく感じています わたしは映画はそれほど見ないのですが、 静かにバッドエンドを受け入れるような結末は情趣があって好きです お誉め頂きありがとうございます

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楽子
楽子
(2019-11-15)

 これはすごく好きです!  「重力」「凍え」どちらの感想もなるほどなるほどとうなずかされました。  「聴覚以外の感覚」というのもすごく納得です。  私が感じたのは(失礼でなければいいのですが!)シュルレアリスムの絵画の色使い、息遣いを感じるということです。  なんとなく重苦しいトーンに、違和感のある差し色に、バラバラに配置された象徴が、夢のようで。  壊れていくような、再生されているような、ごろごろとした違和感がとても楽しい作品でした。

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karadaki
karadaki
(2019-11-16)

>楽子 さん コメントありがとうございます 好きだと言って頂いてとても嬉しいです! シュルレアリスムの絵画のようだと言ってくださって、 自分の詩を見返してみると、 確かにその世界観に近いのかなあと改めて思いました (絵画には疎いので詳しくはわからないのですが……) 保たれていた調和がバラバラと分離して崩れていくような、 反転する 世界を楽しんで頂けてよかったです とても嬉しく思います

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