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永遠≒砂城
春の公園 木製のベンチに座って 砂の城を作る少年と少女を 遠目に見る 遊ぶ子供達 日の光を浴びた彼らは 黄金のように輝いていた きらめく太陽の王国 残酷な囁きで目覚めるまでは それは永遠の夢 エゴの巨木が育つ時までの 無限の世界で 砂上の楼閣を作り続ける 崩壊する城の中で目が覚めるまでは 彼らは時間の外にいる 既に覚醒した僕は 時の内側から二人を眺める 瓦礫の中の僕は どうしようもなく有限だ 夏の森 僕の枝葉の一つが枯れた それが繋げていた気高い木は 種子として旅立っていった 残った枯れ葉を集めて 僕は眺めている 一枚また一枚と 葉柄に乗った音符を奏でるように 指でなぞる チャコールグレイの葉は すわいすわいと声を出す 思い出すのは失われた日々 色濃い緑の巨木 力強いメロディ 砂の城で鳴らされるオーケストラ 閉幕した今は 伽藍の洞 客席に一人残る僕は どうしようもなく有限だ 秋の夜道 黒空を進む赤い光 明滅を繰り返す灯火は 終わった夢の飛行だろうか 目的地を探す綿毛だろうか いつか旅は終わり 新たな夢を見るのだろうか 新たに芽吹いた永遠は 黄金色の海岸を 砂場と知らず歩くのだろうか 無限の時を疑わず 螺旋の上を滑るのだろうか 一冊の本を読み終え 新たな物語が紐解かれるように 再び永遠の太陽を夢見るのだろうか 北風が来る 木枯らしの寒さに備え ウールのコートを羽織る僕は どうしようもなく有限だ 冬の公園 凍てつくベンチに座りながら 雪原を眺める かつて城がそびえた砂場も 白に埋もれ 少年と少女も姿を消した 永遠の否定 静かに降りゆく雪は 色濃い世界を閉ざしている 城は崩れ 木は葉を落とし 空は見えない 時に命を奪う冷気が 僕を夢から引き剥がしていく しかしまた雪が溶けた時 再び彼らが砂の城を作るだろう 回帰する時の中を泳ぎ 黄金色の砂浜を歩くだろう それを信じるどうしようもなく有限な僕は また無限でもある
永遠≒砂城 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1195.6
お気に入り数: 2
投票数 : 0
ポイント数 : 3
作成日時 2019-11-04
コメント日時 2019-11-04
項目 | 全期間(2024/11/22現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 3 | 3 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 3 | 3 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 3 | 3 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 3 | 3 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文