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かわはぎ
頭皮 唇 耳 指 鼻 皮膚を剥いでは食らい 皮膚を剥いでは集める 痛みは覚醒剤 瞼を閉じるような夜明けでも 目をひん剥いて応える 彼らは忠実な薬物だ つぶつぶ毛穴が空いている 人体プレースホルダーは 設計通りに動くんだな 関心しながら皮膚を食らう 虚ろな栄養素だ 頭皮 唇 耳 鼻 指 その他あらゆるかさぶた 集めたら何になる? 一人分集めたら もう一人私が? 虚しい称号を得るつもり? ブロンドのトロフィーでも集めれば プラチナになるというのに やってみなければわからない でも 意味がないとはわかっている 血の滲む皮膚が毒々しい そして剥がされる直前まで 彼らは生きていた 存在意義を果たしていた どうだ この身の主人に 存在を消された気分は 食らう 食らう 皮膚 味もなく 意味もなく ただ食らう あれ、なんだっけ アステカの神 皮膚を食べさせる神 あ、シペ・トテックだ 思い出した 神話にもあるくらいだから 虚しいことに変わりはない 車輪の再発明だと知ったなら やめられるかな、 と思ったのに
かわはぎ ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1259.8
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 11
作成日時 2019-11-02
コメント日時 2019-11-03
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 3 | 3 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 5 | 0 |
構成 | 1 | 0 |
総合ポイント | 11 | 4 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 1.5 | 1.5 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0.5 | 0.5 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0.5 | 0.5 |
音韻 | 2.5 | 2.5 |
構成 | 0.5 | 0.5 |
総合 | 5.5 | 5.5 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
皮膚を集めているのは、宇宙人であるような、自己凝視の勝った詩だと思いました。自分とは他者であると言うランボーの言葉が思い出されます。もう一人の私は恐らく社会化された私ではなくて、それを望むそれ以前の私なのかもしれません。
0学生時代に芥川龍之介の【羅生門】のなかに、【頭身の毛も太る 】という表現があったのを 思い出しました。たしか、身の毛がよだつという意味だと習いましたが、あまりの恐怖に 頭の毛が全部さかだっているような感じがしました。【羅生門】のお話では、老婆のなけなしの着ている服を剥ぎ取ってしまうお話でした。 この詩では、なぜだか 主人公は、人の皮膚を剥ぎ取り、しかも喰らっています。地獄の沙汰ですね。けれど、古代文明のひとつであるアステカでは、シペ・トテックとよばれる行為があったのですね。 本作品は、人間とは 何であるかを おもわずにはいられませんでした。
0エイクピアさん コメントありがとうございます。 他人ばかりに囲まれて、他人ばかりと話しているような人だったら例外なのですが、大多数の人間は「自分」と対話していることが多いと聞きます。 るるりらさん コメントありがとうございます。 「皮膚むしり症」という、一種の自傷癖が存在しており、この詩は丁度それをテーマにしています。 アステカ文明における宗教的儀式は、シペ・トテック神に生贄を捧げるもの以外にも、(現代から見れば)猟奇的なものが多いです。調べると気分を害するようなものも存在しますので、「猟奇的」と書くのみにしておきます。
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