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アフタヌーンティー
静寂に気が付けば 部屋の隅で 羽ばたき方を忘れた蝶々が対流している 冷蔵庫の奥に隠していた色とりどりのお菓子は いつかあなたに誘われてベランダから見た ちぎれた淡い色の雲だった オルゴールの眠っているピンや まだ空にあらわれない星たちの瞬きのように 足もとに少し冷たい空気をこぼす それらが意味するものは 雨だと知らず 部屋いっぱいに西日が注ぐ かざらずに居れたらいいね、と言って 花には水を……xxx 奥歯に詰まったアーモンドの渋い皮が いつまでもそこにあるように よろこびと ほころびの あわいに溺れ 糖衣錠のやさしさも飲み下せずに 薬の苦さを知ってしまうから 指切りとして 白いハンドルに指をかけて 彼女の砂糖を蟻が運び出す…… 落ちる砂時計の砂を眺めている…… なみなみと 西日は注ぐ 深まるロカイユ模様の影も 置き去りの秘密も メルヘンチックに埃を被り (とけないように、なかないように) 下校のチャイムが連れてくるだろう 少し冷たい空気と 星たちの瞬きを待つ
アフタヌーンティー ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1768.2
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 39
作成日時 2019-10-14
コメント日時 2019-10-17
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 26 | 24 |
前衛性 | 2 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 4 | 4 |
音韻 | 7 | 7 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 39 | 35 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 6.5 | 2.5 |
前衛性 | 0.5 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 1.8 | 0.5 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 9.8 | 5 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
羽ばたき方を忘れた蝶々、は、語り手の内面が形を取った影像なのでしょう。ぐるぐる、行き場を失っている心模様を説明的な言葉を使わずに示す、良い書き出しだと思いました。 隠していたお菓子の色が、あなたと見た雲の色だと言い切ってしまう思いきりの良さも、飛躍につながる表現だと思います。 (音の鳴らない)オルゴール、(まだ現れない)星の輝き、という連想は、いまだに歌い出さない、動き出さない、現れようとしない何か、という心の奥の「言いたいこと」を美しく可憐に表現するイメージだと思いますが、綺麗なもの、可愛いものを次々並べていくと、装飾が前面に出てしまって、いまだ~という、本当に伝えたいことが表層で読み手にスルーされてしまうような気がします。 まだ鳴らないオルゴール、を出したのであれば、そのイメージにもう少しこだわってもいい。俳句的な言い方をすれば、材料が多すぎてしまう。 「足もとに少し冷たい空気をこぼす」この体感的な表現は、とても良いですね。なぜ、空気を「こぼす」のか。行き場を失っている室内の空気(イコール自身の内面)を、自らの意思で窓を開けることによって、動かそう、という運動が生まれているからではないですか。ここは、もっと詳しく書き込んでも良いかと思います。 これから雨が降る(悲しみがやってくる)という冷たさをはらんだ大気なのか。 奥歯に詰まったアーモンドの皮のように、言いたいことが言えない、もどかしさを抱えている&糖衣錠が包む苦さ、このふたつの比喩が出てくる時点で、語り手の抱えているモヤモヤの正体も滲み出ているのですが・・・そこから逃げるかのように、よろこびとほころび、という言葉の響きの甘さや、置き去りの秘密、というような、これまた甘いモチーフに頼ってしまうところが惜しい。
0まりもさん お読みいただきありがとうございます。 >綺麗なもの、可愛いものを次々並べていくと、装飾が前面に出てしまって、いまだ~という、本当に伝えたいことが表層で読み手にスルーされてしまうような気がします。 このことは良く噛みしめて、これからの詩作に活かしていきたいと思います。 また、言葉の響きの甘さに逃げずに表現できるよう、辛抱強く書きたいことと向き合うことが必要だと、あらためて気づきました。そして、これから新しい詩に取り組むことが一段と楽しみになりました。 この度は丁寧にお読みいただき、また貴重な評を本当にありがとうございます!
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