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高熱にうなされて
高熱でうなされながら歩く道の上を 薄霞の河が音もなく流れてゆく 磨りガラスの粉をまぶした大気に 真昼の陽光が乱反射した白の乱舞 ハロウィーンの南瓜を被った人々が 通りをカラカラと嗤いながら歩き 僕の肩がぶつかりそうになると 霧のように すうっ とすり抜けて そのままへらへらと通り過ぎてゆく 黄色い耳鳴りが頭蓋の内側を塗りつぶす 梵鐘の反響が両耳の蝸牛を回転させる 不吉な不協和音を呈する電子音が こだまする綿の上を歩く足は誰の足か 水枕の敷き詰められた道は重心が戦慄く 回転する世界は眼球の端から端まで 瞬間移動して旋回する町並みを 撹拌しながら昇る回帰線上の太陽に 背を向ける己の影法師の分身ども 自動機械の足に有無を言わさず 運ばれてゆく先は白々と乾いて 過去も未来も風化しつくした 自分という幻想の存在しない世界 高熱にうなされながら歩く道には 溶解しつつある自己が空中の 白く乱舞する磨りガラスの粉に へらへらと嗤いながら溶け込んで 薄霞の河へと音もなく流れてゆく
高熱にうなされて ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 871.9
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2017-06-19
コメント日時 2017-06-28
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
済みません。 ガイドラインを把握しきれておらず、連日で投稿してしまいました。 来月からは、一週間程間を空けて投稿するようにします。
0一連目の描写が魅力的ですね。二連目は、悪夢のようなイメージと、アニメーションのようなユーモラスなイメージが重なりますが、擬音が、一般に使い慣れた言葉なので、少し軽い感じになってしまいますね。三連、四連、言葉を詰め込んでいる印象を受けますが、精神が味わっている状況を丁寧に、独自の表現で描写していて、迫真力があります。芥川龍之介の『歯車』をお読みになったことはありますか?あの感覚に通じるものがありますね。 最終連で、冒頭の連に戻る、ロンド形式のようになっていますが・・・形を整えることに意識が向かい過ぎたようにも思います。〈溶解しつつある自己〉が抽象的過ぎて、感覚として追体験しにくい。 幻想の薄霞の河(白く靄のように流れる、イメージ?)に、自分が断片となってちぎれて消えて行ってしまうような、そんな心細い状況を描いているように思うのですが・・・その前の〈自分という幻想の存在しない世界〉ここも、哲学的に結論を出してしまっている感があり・・・この時の心境を描いていただけると、もっと読者を引きこむ作品になったと思います。
0まりもさん こんばんは。 コメントをありがとうございます。 やはり、まだ形式にとらわれている部分があったようです。 そのために描写不足になったのかもしれません。 また、ありきたりな表現を避けようとするあまり、抽象的になりすぎて、焦点がぼやけたようです。 ご指摘ありがとうございました。 済みません。「歯車」は読んだことがありません。 機会があったら読んでみたいです。
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