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桜舞う月に踊る黒猫からの証明書
きみがぼくに 塩のきいた銀鮭の一切れを 赤道の島から遠投した夕まずめ。 「ノルウェイ生まれのおばあちゃんの 楽しくもみじめな少女のころを 夢の中でのぞき見た魔法使いの頭髪のにおい」 が途中で染みついたけれど ミルクをクルミで浄化させた寝室に 音もなく届きよった。 悲しかったのかうれしかったのか もうおぼえてへんけど。 子猫がベッドの下から拾い上げてくれた銀鮭に ぼくがサーカスめいた合唱曲をローマ字入力すれば きらめくような退屈な筆跡で きみからのメッセージが独唱されたんだ…… 「きみがぼくに恋しているなら 妖精の下着をぬがして妖怪の水着を着せてほしいよ。 そして、ここに書いた約束を守って、おねがい」 白くやわらかい少女のような猫だったきみが ボクのコーヒーカップに口づけという雷を塗りつける。 「まず、猫を殺してほしいねん。 猫はかわいい仔ほど根絶やしに。 そしてアニメの中の美少女だけに催涙水をかけて 仏壇の前に飢えたイルカと一緒にひざまずかせて。 きみにできる? そして甘い甘いクッキーを水瓶座の瓶に めかぶと生クリームとスマホと紅茶で漬けこんでな 魔法使いの少女の年金と等価交換する勇気を忘れないで。 そして文学中年女とやせた文学青年をベッドインさせて 口数が少ないマイメロみたいな巨漢の双子を産ませ 警察学校が入居したショッピングモールで イベントを開くの。 そしてこの汚れた地球のかたすみで バイク単独事故の夢を見続けてほしいよ」 ぼくの愛するきみは 5歳の夏の違法建築の虹を見たあの日から ぜんぜん変わっていなかった。 夏なのに冬の曲ばかり流れるラジオが鳴っていたね…… 「浪曲が聴きたい。 水のように透明で無気力なあの声が聴きたい。 けど、世界は風邪をひいてしまったから。 溶連菌のキャンディを月の裏側にそっと埋葬してから きみの本心を供述調書につづって検事の机の上で燃やして。できるだけ華やかに。意味わかるか心配だけど。 ときどき、たっぷりの微糖コーヒーと ピノ・ノワールのワインで抗生物質を食後に飲んで アイドル少女の眉間にキスして困らせてみてもいいし。 殺意がライバルだしね。 最後にこれだけは必ず守ってほしい。 きみは、きみを、きみと呼ばないでほしい。 ぼくは、ぼくを、ぼくとは、もう呼ばないから。 オレとお前、今夜から詠む詩にはそう記してほしい。 おせっかいだけど 「笑顔・祭り・桜・砂浜・夜景・カーレース・バイク 子供・孫・猫・犬」の文字はフォルダから消しておいてな。 Clouds Across The Moon は 涙しか降らせることができひんから 意味がわからないってお前は言ってたけど オレには意味しかわからないよ。 ウソちゃうわ」 お前のその月の裏側みたいなダンスが 目に浮かぶよ。 オレの子猫たちは 紅鮭がよかったニャ……なんて ふて寝してる。 おやすみ。
桜舞う月に踊る黒猫からの証明書 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1258.5
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 1
作成日時 2019-10-06
コメント日時 2019-10-06
項目 | 全期間(2024/11/24現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 1 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 1 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 1 | 1 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 1 | 1 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文