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抽象的な境界の切断
地上902m 息がつまる街 潮騒の様な喧騒 煙巻かれ 匿名に抱かれ 哀れな酔客が水と焼酎を誤飲する そして長方形から正方形が逃亡したよ 誤認或いは常飲 鯨飲または原因 失恋の失楽園 失念した後楽園への道順 左目の街はモノクロ 右目の町はイロゴト 忙しいのは生活よりも心の中さ 赤ワイン 白ワイン 赤福 大福 赤い眼の二日酔い 白い眼をして意識不明 紅白の百年戦争 彼岸花の枯れない境界戦線 此処よりは綺麗な場所に堕ちる永遠 落語家 落伍者 落ちのない物語 「ドン・キホーテを想像せよ!」 年老いた詩人が高らかに叫ぶが 僕らはディスカウントストアのことを ボンヤリと連想するだけ 売れ残りの夏蜜柑 嘲笑う炬燵の蜜柑 熱燗を手にして涎 時雨が吹雪に変わるとき 凍傷する海辺 水羊羹の凝固 夏が追われて エアコンの永眠 水の無いプール 潤いをなくした底 無表情の水色 忘れ去られた水着の痕 誰もいない12月のカレンダーを 赤で塗りたくった彼の投身は 平日の黒を休日の赤に変えられなかった
抽象的な境界の切断 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 921.5
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2017-06-18
コメント日時 2017-07-02
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
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エンタメ | 0 | 0 |
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構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
批評させていただきます。 これはいいですね!好きです。落ち着きがあって、浸れる。展開に無理がなく、喩えのような情景描写の、 詩的感覚、言語感覚が、優しいです。また、かなりの文学的教養も持っておられると思います。最後の 終わるところの、カレンダーに語らせる方法は、意表を突かれ、斬新です。広がりの出し方がうまい。 知的楽しみと、感性的魅惑などを、先に期待されることがあると思いますが、筋がいいだけに、小さくまとまって しまわないでほしいなあと思います。
0花緒さま コメントして頂き、ありがとうございます。 この詩は確かにそうですね。抽象的な表現、幻想や空想的な事物も、結局何やかんやで全ては現実に回帰してしまいざるを得ないような、そんな気はしています。事実は小説より奇なりというか。今の若い子(自分も一応含め)にドン・キホーテで思い浮かぶのは?と唐突に尋ねれば、恐らく9割くらいはあの巨大ディスカウントストアを連想すると思うのです。 そうした実の面を、詩という表現の中で描けたらなと考えて書きました。
0黒髪さま コメントして頂き、ありがとうございます。 季節や生活は、自らの体感以上にあの無機質なカレンダーの日月に支配されているような感覚が子供の頃からあって、それを結に持ち込むことによって終息感を描く意図はあったのですが、そのカレンダーに着眼して頂けたのは嬉しいです。 文学的教養は、一応日本文学を学んでいたのですが、自分にはあるのか無いのかよく解らない状態です。。
0言葉の音が音を呼んで進行していく、リズミカルであるのに軽く成り過ぎない(それは、適度に意味が加算されていくから、だと思いますが)詩の駆動力が魅力の作品だと思いました。 〈煙巻かれ 匿名に抱かれ〉ここは、煙に巻かれ、の「に」落ちでしょうか? 〈そして〉に、多少違和感があるのですが・・・あえての挿入、なのか・・・この接続詞に、説得力が感じられませんでした。 〈忙しいのは生活よりも心の中さ〉一連目は空間的な喧騒、混沌。 〈彼岸花の枯れない境界戦線〉二連目は紅白、男女、生死、正気と狂気の境界領域。 〈凍傷する海辺 水羊羹の凝固〉三連目は精神の夏と冬・・・あえてクサイ言い方をすれば、青春の記憶と、その喪失。 音によって(時にはダジャレ的に)繰り出される言葉のリズム、その展開の軽快さが、深刻に沈んでいくのを防いでいる、そんな印象を受けました。 季節の終りとしての冬と、恋の喪失を実感する(誰もいないクリスマス、のような)12月。ディスカウントストアで大量消費されていく「情熱」の成れの果てとしての詩(への批判精神)・・・を連想しつつ、だからこそ、掘り出し物、これはお宝、というような詩と出会いたい、とも思います。
0まりもさま 「に」落ちと、(そして)は意図的なのですが、そしては説得力があまり無いような気が読み直すとしました。 (そして)は私が小説を書くときにも頻度高めに用いてしまうので、その癖が綴りながら無意識に出てしまったのかもしれません……。 詩という表現の楽譜上、狂う手前の境界線のボーダーラインを変拍子でふらつくことを特に意識した詩なので、軽快さや沈むことの防止の指摘はとても嬉しいです。
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