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願い生きている
胃が痛い。布団の中に篭ってる。痛くて食べなくて。耐えられない痛みなんてないのに、布団の上に、白衣の技師さんが現れて(お前が呼んだんだろ笑)胃カメラ持って、ご丁寧に麻酔などしてくださって、耐えられない痛みなんてないのに。お気遣い恐れ入ります。 天井に映し出される空洞の胃袋、注ぎ込まれる水の渦は冷たく涼やかで。清洌なブルーの渦の反復、ずっと見惚れていたかったのに。カメラが進む。赤い胃袋。充血して。生きている胃袋。痛みに耐えられなかったものたちは皆死んだ。あらゆる痛みに耐えられてきたからすべての生きものは今を生きてるんだし、わたしもね。だから耐えられない痛みなんてないのに。お心遣い、恐縮の至りです。(だからお前が願ったんだってw) 「ものすごい下手くそな胃袋ですねー、世界と関わるのが下手すぎて、真っ赤になってますよ、ほら。馬鹿な胃酸の馬鹿な破壊による炎症です。」ご丁寧なご説明ありがとうございます。と思ったら、白衣の技師さん消えちゃった。 何も感じなくなりました。 ご麻酔ありがとうございました。 透明な水の渦に潜る。破壊されたわたしは、粉々に小さくなる。小さく小さくちいさくなる。ちっちゃくちっちゃく、ちっちゃくなっちゃって ねむい ねむろう とうめいで、ひんやりと、あんしんな みずのなかに 夢と世界の境界線に漂いながら 願っている。 目覚めたら、 あかるい、あ、軽い、安心の水の中で 胎児 で、ありますようにと願っている。 世界が始まる前 手足が形成される前の さかなのかたち 掴み取りたいものはないし 歩いて行きたいところもないよ 未来考える脳みそはいらないよ さかな、さかな、さかながいい 安心の海を
願い生きている ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1031.1
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 4
作成日時 2019-10-01
コメント日時 2019-10-01
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 2 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 1 | 1 |
総合ポイント | 4 | 3 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0.5 | 0.5 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0.5 | 0.5 |
総合 | 2 | 2 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文