回転 - B-REVIEW
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ことば

ことばという幻想

純粋な疑問が織りなす美しさ。答えを探す途中に見た景色。

花骸

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回転    

車窓に過ぎる海辺に、 幾億もの魂と 人妻の産んだ赤子を思う。 針金のように硬質な、 真っ黒をかき分けて 這い出したあの 柔らかな、頭皮と てらてらと光沢の帯びた 人妻の色気を。 目玉の奥に潜むのは、 私の忘れてしまった、 成熟の記憶だろう。 小指を角に打ち当てるような 偶然性を伴って、 君の舌を咀嚼する。 しめのうどんの後に、 君の舌を、咀嚼する。 車窓を過ぎる田畑に、 幾億もの遺伝子と 貴様等の産んだ赤子を思う。 きっと、 針金のように硬質な 真っ黒をかき分けて、 這い出したのだろう。 ………… …… …。 あれから幾年もの時が経ち 私もまた、一人の人妻となって 私の真っ黒をかき分ける、 赤子を産むのだろう。 やつれた母親を思い出す。 父の、ぷっくらとした下唇。 私のに、よく似ている。 君のに良く似た、ざらついた真っ赤な舌を 私は吸い込みたくてたまらない。


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作品データ

コメント数 : 9
P V 数 : 2669.8
お気に入り数: 0
投票数   : 0
ポイント数 : 13

作成日時 2019-09-16
コメント日時 2019-10-03
#テキスト #アドバイス募集
項目全期間(2025/04/10現在)投稿後10日間
叙情性22
前衛性54
可読性00
エンタメ00
技巧22
音韻33
構成11
総合ポイント1312
 平均値  中央値 
叙情性0.70
前衛性1.72
可読性00
 エンタメ00
技巧0.70
音韻10
構成0.30
総合4.32
閲覧指数:2669.8
2025/04/10 02時28分58秒現在
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    作品に書かれた推薦文

回転 コメントセクション

コメント数(9)
細川利回
細川利回
(2019-09-19)

産む、という行為が示すところの「out」と、舌を咀嚼、吸い込むという「in」が、黒と赤の色彩の対比とともに生々しく表現された作品だと思いました。車窓、海、田畑、うどん、父、母、という言葉からも回転、につながる何かを感じさせられました。

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左部右人
(2019-09-21)

細川利回 様 タイトルと詩の中身について関連づけて読んでくださったことに感謝致します。中々、タイトルをつけるのが難しくてですね。 拙作をお読みいただき、またコメントをくださってありがとうございました。

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左部右人
(2019-09-22)

沙一 様 「輪廻」、まさしくその通りかもしれませんね。 とても嬉しいコメントをありがとうございました。

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夏野ほたる
(2019-09-29)

出産と海辺が同時に描写されていることで何でもない夜中に押し寄せては返ってゆく波をかき分けて数えきれない発光体が飛び出してくるような果てしなさを感じました。"君のに良く似た、ざらついた真っ赤な舌を私は吸い込みたくてたまらない。"というのが妙にエロチックで、だけど紛れもなく遺伝子を分け与えた子供への愛情で、この情愛と艶めかしさの同居こそが人妻の色気なんだろうなあ。

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左部右人
(2019-09-30)

夏野ほたる 様 私の思いもよらない「果てしなさ」を感じていただけたようで、嬉しく思います。 「情愛と艶かしさの同居」とは、こちらも私から生まれることのない言葉です。詩の広がりについて、考えさせられました。 拙作をお読みいただき、またコメントをくださってありがとうございました。

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stereotype2085
(2019-09-30)

家族。業の深い家族の物語を見ているようでした。暗く心のしこりに陥っていくようなエロティシズムでさえ感じました。しかしそのしこりがなければ人は種をつなげない。そんな悲しみを表象しているとも思いました。「貴様等の産んだ赤子を思う」がその象徴的描写で憎みながらも恨みながらも種を繋いでいく、繋いでいかざるをえない、ある種の屈辱のようなものさえ感じました。ですがラスト近辺の、父の下唇が私のに似てるとの言及が救い、赦しになっていると思います。この詩は苦しみ、のたうちながらも人生を肯定している。そのように感じました。

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左部右人
(2019-10-02)

stereotype2085 様 〉憎みながらも恨みながらも種を繋いでいく、繋いでいかざるをえない、ある種の屈辱のようなものさえ感じました とのご感想、とても嬉しく思います。 本作は仰る通り生きることに「苦しみ、のたうちながらも人生を肯定」しようと書いた作品です。単純でありふれたテーマですが、きっとすたれることなくいつの時代も誰かが書き続けていくのでしょうね。 返信から少しそれましたが、拙作をお読みいただき、またコメントをくださってありがとうございました。

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Um Fantasma
(2019-10-02)

これはちょっと飛びすぎてるんじゃないの。ライティングとして重たく漢字を取扱ってるけど。呪術とかの域に行くには怨念が足りない 笑 とか言ったらだめだな。うどんがいきなりでてくるのは個性的で詩的な部分なんだけど、サービス精神が足りないので読者にそれがうまく届けられませんでしたみたいなかんじ。まあその方面でも突き抜けるってことはできるのが詩だと思うんだけど。

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左部右人
(2019-10-03)

Um Fantasma 様 〉サービス精神が足りないので読者にそれがうまく届けられませんでしたみたいなかんじ というご感想、真摯に受け止めたいと思います。 拙作をお読みいただき、感想までいただきましてありがとうございました。

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