別枠表示
斯界
凍てついた視線に身を縮ませて 今日も顔をなくした人々は互いの目も繰れず 感情を交わさないようにして すれ違うだけの生活を過ごす 互いの息遣いすら聞こえないように かき消すかのように街並みの喧騒と雑踏は響く 大きなビルに取り付けれた巨大なモニターが発する 一連の悲しいニュースさえも鬱陶しいとさえ 思ってしまう程に心の奥底は黒く淀んでしまっているのかもしれない もしも、誰かが硬貨一枚でも落とそうものなら きっと、それはあっという間に闇へと消えてしまうだろう それでも、誰かがその硬貨を拾うのを待ちわびている たとえ、それがほんの偶然なのだとしても おそらく、そんな偶然が起きたなら 凍てついた視線に怯えずに要られるのかも知れない 些細な出来事でモニターが明るいニュースを発すれば 人々は顔を取り戻すかも知れない 滲んだ視界が鮮明になるのかも知れない あの空高く昇った太陽が偽物に摩り替えられようとも誰一人も気付かず日々を過ごすことに変わりはない また、今日も凍てついた視線の中に埋もれている 行き場を失った視界の出口を探し始める
斯界 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1552.3
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 18
作成日時 2019-09-14
コメント日時 2019-09-20
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 7 | 5 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 6 | 5 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 5 | 5 |
総合ポイント | 18 | 15 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 3.5 | 3.5 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 3 | 3 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 2.5 | 2.5 |
総合 | 9 | 9 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
文体がとてもスマートで上手さをとても感じました。ただ、情景のうちの場面が強すぎる感じを受けます。それは、自我を消すことへのこだわりさからくる、丁寧さ、構成を意識するあまりに作為の痕跡が残っているからではないかと思いました。具体的にその根拠を示しますと、作中に使われていらっしゃる「消す」「消えて」等の語句とともにある喪失感を表す表現の多用さです。作風として、自我を消すことへのこだわりが仮にあるとすれば、もっと削られた方がよいかと思いました。失礼しました。
0「それでも、誰かがその硬貨を拾うのを待ちわびている」の部分は、ごく当たり前のことすらここでは「希望」であるという地獄的な絶望の表現に読むべきかもしれませんが、一方で、「人間が腐敗に抗う力」を信じる書き手の気持ちが込められているようにも読めて、私はそういうのが好きなので、良いなと思いました。 しかし、そう読んでしまうと後半部分と辻褄が合わないかなとも思っています。明るいニュースがなくとも笑顔を取り戻すことができるはずだという方向に進むと思いましたが、実際にはそうではありませんでした。やはり基本的な主題はしんどさを描くことにあるのかもしれませんね。。
0どうも、ハンドルネームが異なりますがdeleteと同一人物の者です。自身の不注意によりアカウントを作る直すはめになってしまいました。一作品しかあげてませんがアレとはさよならです。みうらさんには、やはり見えてるんですね(笑)。その斯界は自分のでもあり他人の斯界でも良いんです。言ってしまえば、鳥の視界かも知れませんし蟻の視界かも知れない。そういうことです。でも、視界は誰の斯界ですか。その目、誰の目に近いイメージではありましたがあくまでも上っ面だけの話です。
0いすきさんのコメントを読むに始終同一人物の視点で読まれてるからだと思います。そう読んでも良いのですが、前半と後半の二部構成として分けると少しは見えやすいかと。後付臭いのですが、全部で五段の文章なので上記二行が前半で三行目が中で残りが後半として3つの視点にわけられるとそれぞれの思いが見えるんじゃないかなと……
0