怪物自身 - B-REVIEW
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怪物自身    

私は美しく醜い怪物だ。騙し狂いながらも人間を愛して人間の皮を被っている。 怪物の中でも変わり者。 <愛が欲しい> 人間の皮を被った怪物は、そんなことを呟き。今日も自分自身は人間であると言い聞かせながら、また1人の人間を住処へと招待した。 その怪物は残念な事に外見は美しく、色気を漂わせながらお得意の会話術で多くの人間を魅了する。 招待する夜は毎晩、怪物にとって夢のようなもの。 怪物は認められ、愛され、尽くされ… 全てにおいて本当の人間のように感じていた。 そんな夜も一瞬で終わり、薄っぺらい人間の皮はすぐに禿げてしまう。 夢はもう終わりだ。 朝になれば、人間は慌てふためいて住処を去ってしまう。分かっていたこと……何回たっても慣れることは無い怪物の悲しい現実だ。 結局、怪物を愛してくれる者はいなかった。 哀れな怪物に皆、口を揃え言う «大丈夫。分かってくれる人間がきっとどこかにいるから。» その言葉が・その感情が更に怪物の心を弱めていくことも知らずに…… 怪物自身気づいている。そんな受け入れられる現実はないのだと。 怪物同士が意思疎通も何も出来ていないのだから人間に分かりあって貰える訳が無いことを……馬鹿な話だ。そんなものを求めて。 怪物にとって朝が来るたび毎日は辛く…悲しく…寂しいもの。だからと言って変わることはない。 結局1匹の怪物として生涯を終えるのだ。 知っている。現実……目を合わせようとしなかっただけの現実。それだけの人生をもう歩んできた、諦めようこんな醜く美しい世界なんて。 こんなもの……


怪物自身 ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 4
P V 数 : 1683.7
お気に入り数: 0
投票数   : 0
ポイント数 : 23

作成日時 2019-09-13
コメント日時 2019-09-22
#テキスト
項目全期間(2025/04/13現在)投稿後10日間
叙情性77
前衛性00
可読性1010
エンタメ33
技巧00
音韻00
構成33
総合ポイント2323
 平均値  中央値 
叙情性2.32
前衛性00
可読性3.35
 エンタメ10
技巧00
音韻00
構成10
総合7.710
閲覧指数:1683.7
2025/04/13 05時56分52秒現在
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    作品に書かれた推薦文

怪物自身 コメントセクション

コメント数(4)
渡辺八畳
(2019-09-21)

この詩の出だしから、バズマザーズの「変身」という曲を思い出した https://www.rockol.it/testi/152904516/ 「変身」とこの詩の違いは、言葉の直接性だろう。この詩は「怪物」という比喩こそ使っているものの、それ以外は書かれていること=詩が伝えんとするものであり、ストレートだ。 意味を伝達することが目的の文章、例えば取り扱い説明書ならイコールで結ばれていてもよい。ただ、詩の場合だとそれでは困る。というのは、詩という媒体はそもそも意味の伝達能力が低いわけで、苦手な分野に重きを置いてしまうとほかの媒体に勝てないからだ。 詩の言葉は正確に意味を限定できない。だからこそ、そのブレを活用して書かれている以上の情報を読者に伝える。 そこらへんのが上手い詩人といえば最果タヒだろう。おすすめします。

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てて
てて
(2019-09-21)

コメントありがとうございます。 気持ちを描き始めて、初めての投稿に凄くビクビクしていました。 初めてのコメントにアドバイスが貰えたことがとても嬉しくて、何度も見返してしまいます。不十分な点はこれからどんどんと減らしていきたいと思います。 アドバイスがあればまたお願い致します。

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三浦果実
(2019-09-22)

渡辺さんのコメントには多分に学ぶものがあるなあと感心しております。言葉の意味を用いずに書きながらも受け手と共有する言葉とは、つまり受け手による批評によって作品が成立することを示しているのだと思うのです。 怪物が表現されていると、確定するのは受け手が怪物だと定めるところに在るからで作者が怪物を示しても受け手がそれを人間だと定めれば、それは人間であるという。作者が怪物を比喩として人間を示すとき、受け手は作者が表現する人間を感得せざる得ない。なぜならば比喩こそが作者が放つ固有の意味だから。 オリジナルとはそういうことなんだなあと、本作と渡辺さんのコメントに思いを馳せました。

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てて
てて
(2019-09-22)

コメントありがとうございます。 それぞれのコメントの深みが強くて、コメントの中での実力の差も気づくことができます。作品の方もそれぞれで読ませて頂いて、一言で言うと「驚き」でしかありません。 詩という分野に対して、初心者である私ですら一つ一つの言葉に重みを感じ押しつぶされる現実です。 また、アドバイスなど頂ければ今後ともコメント内でよろしくお願いします。

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投稿作品数: 1