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魚影
灯台が立つ岬で 寝転がった夜 目前に広がっていたのは 海の水面だった そして魚影が ふ と現れたのだった 魚影は 岩礁の稜線に向かう様子で その尾びれが 水中に舞う砂を 払っていた 砂は 光を受けて 寂しそうにきらめいた 魚影は たしかに 影だった 魚 とも言えないし 水面に浮かぶ 明暗の 勘違いでもなし 不変の輪郭は 必死に 魚を暗示する影を 追って 描いていた 魚影は やっと岩礁に着くと 影の先端を 岩礁の輪郭に融けあわした くっつき 離れ パクつき 揺られ 僕は 岩礁を喰ってるんだ と思った 岩礁は 魚影の先端が融けあうたび 輪郭が 削れていくように見えていたが… 魚影が 何度目かのキスをすると 魚影の背骨が 赤くほとばしった! まるで線香花火の全盛のように 始まりの地点で一気に輝き 横切る走馬灯の速度で 真横へ残像を描いた ハッとした 魚影を見た 僕が見ていたのは 星空なのに 僕は 思わずわらった 天の川はきっと淡水だろう 気付いた時にはもう 舞った砂も 夜空の底へ 落ち着いていた
魚影 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 2128.6
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 38
作成日時 2019-08-27
コメント日時 2019-09-01
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 12 | 12 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 2 | 2 |
エンタメ | 4 | 4 |
技巧 | 10 | 10 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 10 | 10 |
総合ポイント | 38 | 38 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 6 | 6 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 2 | 2 |
技巧 | 5 | 5 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 5 | 5 |
総合 | 19 | 19 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
リズム感がありました。
0天淵鱗子さん、コメントありがとうございます。節の初めが「魚影」から始まってばかりで、リズムを作る上では邪魔かなと思っていましたが、リズム感を受け取ってもらえたなら良かったです。
0迫真性があるかと。詩でもない小説でもないことの魅力。結局詩だと思うのですが、天の川は淡水だろうと言う断定。岩礁を喰ってるんだと言う魚影の凄まじさ。虚実の混ぜ方の上手さもあるのではと思いました。
0エイクスピアさんコメントありがとうございます。天の川が淡水だろうというのは、もし彦星と織姫が海水の天の川を渡ろうとしたら溺れてしまうだろうなと思って断定しました(笑)迫真性があるとは意外です。
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