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きざはし
南館4階の、上ってはいけない中二階 窓。 スカイツリー、時計表示。 16時42分のチャイムが鳴る。 先生は上った、彼も彼女も大人だったから。 悪い先輩が、耳にたくさん穴をあけて、素知らぬ顔で足をかける。 軽快な音で、まっしろなコンバース鳴らして、見せつけるように中二階へ。 あの子は不良よ。 母は理由を述べなかった。 この世は恐ろしいことばかり。 あおげばとうとしわがしのおん。 私もう、歌ったのに 耳に穴もあけたし、初めてのバイト代で買ったドクターマーチンも、 くたくたになるまで履いてやったのに。 中二階には登れない。 スカイツリーを見たくても。 空に浮かんだ七色の風船。 先生の左手の薬指。 死産で休職、保健体育。 火葬場に残るゴムの香り。 数学オリンピックで準優勝の、3年A組清水さんが 中二階から私を見下ろす。 風にちらつく薄桃色のパンティーの穴と言う穴から唾液が染み出していた。
きざはし ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1314.7
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 16
作成日時 2019-08-17
コメント日時 2019-09-01
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 5 | 0 |
前衛性 | 1 | 0 |
可読性 | 2 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 3 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 5 | 0 |
総合ポイント | 16 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0.2 | 0 |
可読性 | 0.4 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0.6 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 1 | 1 |
総合 | 3.2 | 3 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
おとな、への階段を昇る、というイメージと、実際に吹き抜けの学校ホールのようなところの、中二階の踊り場的な空間をイメージしました。 中二病、という言葉もなんとなく連想されますね。 最終二行、おとなになる、ことと、性の自覚とを重ねる表現、なのか・・・風にちらつく、ということは、穿いているのではなく、それだけが風に揺れている、のかな、とも思いましたが、私にはこの部分が、とらえにくかったです。 おとな になるって、どんなことなんだろう。 ちょっと「不良」っぽい領域に足を踏み入れる=おとなしく規律や規範に従わない、ということ、なのかな。 あるいは、結婚して、子供を持つということ(死産という悲しみも引き受けなくてはならないということ)、なのかな。 そんな、まだ「おとな」になるというイメージが定まっていない学生の目から、一足先に「おとな」になっていった人たちのことを見ているような印象がありました。 スカイツリーが、「おとなになったら見える景色」の、ひとつのシンボルとして機能していると思います。
0性=大人の階段=中二階、と認識しました。その認識でいくと、 >母は理由を述べなかった。 >この世は恐ろしいことばかり。 の部分がけっこう効いてて良いと思いました。
0まりもさん 作者ではないのに答えてしまって申し訳ないのですが、 >風にちらつく の部分はスカートが風に揺れてパンティーが見えたり隠れたりしているのかな、と思いました。 連投失礼しました。
0少し悪いイメージの人しか「中二階」にいかないのかと思ったけど、数学オリンピックで準優勝の清水さんが「中二階」から見下ろしているのがユニークだと思いました。準優勝だったからなのか。。?
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