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スターの君と部屋の私
照明が君の元へUFOみたいにやって来てスターにする 君はこの世にまた生まれた国産のエイリアンになって 情報の海へ自らを色濃く流し込む権利を得た ヘビースモーカーな私の部屋 埃と煙が充満した部屋のカーテンは黒だし閉めっきり テレビの番組で天気や時間を予想する だけどそんな行為はする意味なんて無い 玄関なんて開けるのは宅配が来た時だけ その時に沈んだ空気が外に逃げ出す こんな時間の死んだ場所には居られないと 草臥れた煙草の山 水道水を入れた2ℓのペットボトル 酒の色に汚れたグラス 堕落した私の象徴 真面目に生きていたつもりだったけど どうやら向いていなかったみたい 気持ちが病んでいると言われてから景色が脱色して 紙1つでアッサリと手放される存在価値 回らない歯車となった私は これまでの努力を取り返すべく 休息という名の無駄を行っている最中 それで抗っているつもりだ 塩気の多いスナック菓子 脂の付いたマウスとパソコン 運動と栄養の不足した身体 現在進行形の求める私の姿 掛けっぱなしのテレビの中で私の知っている君が 興味の無い事に驚いてリアクションをしている 演技の仕事をしている人は大変だな 私も途中までは自分が役者なんじゃと思っていたけど 私は私でいたからこんな風になってしまったんだと気づいたよ 私は自分の存在を細かく切り分け出来ないんだ 気まぐれに浴びるシャワー ろくに取り換えない下着や服 埃を被った化粧品 絵にならない私の生活 君が歓声とか眩しいシャッターとか浴びている 追うつもりは無いけど視界に入るから見ていたけど 何が凄いんだろうとか思えて来たよ 回すチャンネルや飛んだページには君の話題ばかり 嘘なのか本当なのか分からない話が魚になって泳いでいる とにかく皆が君に夢中になっている あれはどうなったのかとか快挙だとか 無駄に期待を掛けられている人にしか見えないんだけど ぬるい温度で回りっぱなしのエアコン 延命治療みたいな空気清浄機 季節感が不明のベッド いい加減な私の存在 そんなある日の出来事が世間を騒がせた 私は酒を飲みピザを食べながらそれを見ていた 君がどうやら自殺してしまったらしい 自分というちっぽけな存在に対しての期待の重圧 有る事ない事言われて独りでに歩き出すスキャンダル 24時間管理されて監視されて動く毎日 そんな中で逃げ場を無くした君は 睡眠薬を飲み手首を切り自宅のお風呂で死んでいた 世間は何か悲しんでいるけど 私は羨ましいし同時に怒りを覚えるよ 平坦になって来てる感情に久しぶりに動きが出た 「贅沢な自殺だ事…」私は久しぶりに声を出した 私もテレビの向こうの君も自分の中に自分は一人だけで世界は一つだけだった 私もテレビの向こうの君も自分の中に自分は一人だけで世界は一つだけだった 私もテレビの向こうの君も自分の中に自分は一人だけで世界は一つだけだった 私もテレビの向こうの君も自分の中に自分は一人だけで世界は一つだけだった 私もテレビの向こうの君も自分の中に自分は一人だけで世界は一つだけだった 私もテレビの向こうの君も自分の中に自分は一人だけで世界は一つだけだった 私もテレビの向こうの君も自分の中に自分は一人だけで世界は一つだけだった 私もテレビの向こうの君も… なんだかガッカリだよ私はちょっと君になりたいなと思ってたのに 結末がこんなのだなんてさ まるで私が死にたがっているみたいじゃんか 君は私みたいになれば良かったのかも知れないね 傍から見れば無様で避けられるようなこの私に 重荷になるものを全て投げ出して ひたすら籠り続けて生きる私にさ 籠っているけど窮屈でも無いこの生活 自分を捨てずに生きて行ける死んだような生活 生前の君には理想だったかも知れないね 私は無駄に期待されてそれに応えられちゃって騒がれたかった 私を中心にこの世界を回してみたかった 今となっては御免だけど 君の話は一月を跨げばあれだけ有名でも出なくなる あれだけ騒いでいた人達は何処へ消えたのだろう 君の居ない世界が今日も続いていて その先に私は動かずとも進んでいく 私も沢山休んだしそろそろ行かなくちゃ 君の居ない所に
スターの君と部屋の私 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 2434.0
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 8
作成日時 2019-08-16
コメント日時 2019-08-30
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 2 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 3 | 3 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 2 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 1 | 1 |
総合ポイント | 8 | 6 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 0.7 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0.7 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0.3 | 0 |
総合 | 2.7 | 2 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
沙一 さん 無敵の人ですか…あれは怖いですね。 私達も自分の命なんてどうでも良くなってしまえば それになってしまう可能性が有るので、慎重に人生を歩みたいところです。 身近に憧れている人が居たんです 仕事は出来るんですがプライベートが壊滅的な人だったんです 私は当時、私生活も素敵なんだろうなと思っていたんですけど 実際はそうじゃなくて、いつの間にか居なくなってしまいました。 隣の芝生は青く見えるって言葉がありますが、ほんとそうなんだなと思いました。 だけど居なくなった後も、なんだか信じられないのか進めていない自分が居たので いい加減進まなきゃなと思い、書いてみました。
0スピーディーな展開、冒頭二行で、輝かしく、常人とは異なったユニークな「スター」の姿を描き出すところがいいなぁと思いました。 理不尽に解雇通知を突きつけられてしまった、私らしく生きることを許されない「私」にとって、スターの「君」は、自分とは真逆の姿を写し出す、鏡のようなものだったのかもしれません。 その鏡があることで、私らしく生きることのリスクや、時には演技することの大切さなどを(逆転した理想像として)照らし出してくれる。自分を冷静にとらえたり受け止めたりすることもできるようになる、そんな鏡であったのかもしれません。 それなのに・・・自分とは真逆だと思っていたのに、内面は自分と同じだとわかってしまった。 そのことで、麻痺したように平坦になっていた「私」の気持ちも、動き出す、わけだけれど。 中盤のリフレイン部分が、気持ちの切り替えの強制的なスイッチとして迫ってくるような効果を感じました。 きっと、「私」は、これからは、「君」は自分とは全く違うから、どんなに頑張ったってあんな風にはなれないよ・・・という、投げやり、捨て鉢な気持ちから、結局、外見は違っていても、内面は一緒なんだな、というわけで、「君」に向かっていた感嘆の気持ちや羨望の感情が、自分に向かっていく、かもしれません。
0その全てを知ってると言っても君は怒るだろう 僕が知っていることに 知らない誰かじゃないことに ポークビダルーでも作ろうか? 東京シティ競馬でもいい 言葉は限られてる かわいそうだよ 言えて僕はすっきりした なら 君の言葉は強いよね いない 君はいない でも 酒を飲む理由にはなる 遺書に書いてもいい 今日、俺は君で酒を飲んだ
0貴音さん、コメ汚し失礼します。 宮田さん、こんにちは。運営の藤井です。 宮田さんのこちらに寄せられたコメントは、本作への返詩ということでよろしいでしょうか。 作品に関係の無い(合評、感想ではない)と捉えるに至るもしくはそれに明確な意図を示していないコメントは、その意図を明確にしてくださらないと、〈作品と関係の無いコメントを寄せる荒らし〉と判断致す場合がございます。 こちらのコメントが、明確に返詩と捉えて良いのか、もしくはまた違った意図があるのか、ご教授願いたく存じます。 もし返答がなく、この様な行為が続く様でしたら、非常に心苦しいのですが忠告やカード発行に至る恐れもございます。 私からは以上です。
0死んだ、時間の止まった部屋の描写や空気が逃げていく点、テレビを見続ける腐ったような主人公の描写が極めて生々しく、リアルに思い浮かぶように作られている点が面白く感じます。 君が死んだ後の、主人公の羨ましがるような感慨は、むしろ君への信頼関係によるものなのだろうか、とも考えました。どこか退廃的ではあるものの、完全に腐り切った情景を捉えた訳ではなく一抹の光明を用意している点が、本作を読み終わった後の砂利っ気のない、後味の良い印象を与えられていると思います。
0まりもさん ちと回りくどいですけど、エールとして書いてみました。 スターの君は死んじゃうんですけども 私の位置にいる人達に対して どんなに輝いていても人って案外 中身は一緒なんだよ 自分だけがダメダメじゃないんだよ 眩しい所目指して踏み込んでみてってなエールです それと私は 短い人生で身体を壊しながら仕事をしてきました。 その時の自分と今の自分を保存したくこの形にしました。 読みほどいて頂きありがとうございます。
0宮田さん 私の詩を読んで頂いて そこから着想を得た返詩でしょうか 無頼派な感じがやはり素敵です 今後も宮田さんの詩を読みたいです
0ふじりゅうさん 生々しさはきっと実体験を落とし込んでいるからだと思います この詩が書けたのは経験をしたからであるんですが またの経験はもうごめんです(苦笑) もし経験するならさっさと進みたいです
0死後の世界と言ってしまえばいろいろなことが矛盾して来そうで、慎重に避けられている内容であるような気がします、この詩では。死んで居る生きていると言う二分法ではなくて、魂の邂逅が望まれているのではないか、魂と魂の合一、フュージョンすら目指されているのではと思いました。
0エイクピアさん 死後の世界というより、生き地獄かもしれません。 スターでいなけりゃいけない もう片方はあるがまま自分を否定されて廃人になって。 でも邂逅と言う言葉を目にしたとき もしかしてこれを書きたかったのかも知れないと思いました。 ありがとうございます。
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