別枠表示
呼吸癖
蕣が硝子のせんいでできてる気がする もうどうしようもない静脈の揺れ 選挙カーが視えない角を曲がる ひっぱって立たせようと想ったの、と 静物画のように 牝馬のように 形状記憶合金のように でも悲しいね、手を放すと倒れて みんな血で払えば購えると思っている 古くなった調味料で 夏を作る、わたし、 貝がらという季節になって跛行する あしたからそんなふうに笑わないでね いまどこかのほねがとけていく 返事をするまえに 返事ははしりだしてしまうもの きえてほしいと思ってるわ 園芸のほんをかって この世をどうするつもりなんでしょう いくらだってわらってあげるよ あなたが知らないひとだったら ぼくの見ないところで 波がずっとうごいている すべての流れる時間を そのひとゆらで かぞえたい 星空のしたの仔馬の寝息ひとつで おさな児の光映りこんだ瞬きのいちどで はじまることなんてなにもないと いっても いくらいっても だれかの呼吸がそれを否んでくれること わかってるんでしょう 言葉をゆびさきで千切って くさはらに捨てるんだよ 明日があるみたいに誤解をつづけて 名づけたなら ほしもあなたのものになった しんだひとには 煙もみえずに
呼吸癖 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 2109.4
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 103
作成日時 2019-07-30
コメント日時 2019-08-17
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 93 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 5 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 5 | 0 |
総合ポイント | 103 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 46.5 | 46.5 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 2.5 | 2.5 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 2.5 | 2.5 |
総合 | 51.5 | 51.5 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
こんにちは まず、蕣の文字を知りませんでしたので検索にかけましたら 「あさがお」であるとか「むくげ」であるといった結果がでました。 まるで花姿が違う花なのに、なぜ 同じ漢字なのだろうかと思ったのですが、 「あさがお」も「むくげ」も一日花。つまり 花時期が一日のお花であり、キキョウの花も「あさがお」と呼んでいたという説もあるようです。びっくりしました。つまりは、刹那に咲く花を「あさがお」と呼んでいたとは 検索をかけるまでは知りませんでした。 繊細であることを 硝子の心臓であるということがあるように、短命な花になぞらえた心境は、いたいけな印象を受けました。跛行〔はこう〕は、足をひきずって歩くことだから、色々な身体の不具合を抱えておられる詩なのでしょうか?貝がらという季節。と、いう表現が美しいです。貝殻の季節とは、夏をイメージしました。けれど、選挙カーとあるので選挙の季節でもあり、貝殻とは貨幣になったことも物であることを ちらと勝手に思いました。 園芸の本を買って この世を どうにかする。どうにかするつもりなんでしょう?というのは なんだか愛らしい皮肉のような気がします。わたしは、「ルピナスさん」という絵本をお勧めしたいです。たくさんの美しいものを見てきた主人公の女性が、晩年になって たくさんの花を植えつづけて 世の中を美しくしてしつづける物語なのですが、花で この世は変わると、個人的には思える物語でした。もしよかったらお読みいただけたらなあと思いました。「ルピナスさん」バーバラ・クーニー/作 八木田宜子/脚本 それにしても、最後の連は 簡単ではない読書体験でした。生きることの たましいの継承の手触りがとても繊細で それこそ 一日花のように儚くて それでいて実を感じさせる筆致であると感じます。もうすこし繰り返して拝読したいです。 それと、蕣の文字がしれてよかったです。あさがおやむくげを見たときに刹那を 想えそうな気がいたします。
0こんにちは。何度か読んで、コメントしたくて、気づいたら数日経ってしまっていたのですが、まだまとまっていません。(個人的によくある話。) ひとまず、今日また読んで、感じたことだけ書きます。言葉の使い方がとてもきれいで、魅せられます。やわらかい波に揺られている気持ちになります。それは音からくるものであり、文字からくるものでもあります。ここでいう文字というのは意味やイメージなどではなく文字の形のことで、漢字とひらがなの視覚からはいる波立ちが感じられます。 以上です。もっと多くのコメントがついてよい作品だと思います。 ※《園芸のほん》で、あれは誰だっけ、チャペックだったかな、「園芸家12カ月」を想い出しました。
0るるりらさん 「蕣」の一字を調べられたとのこと、私のほうがなるほどと思って読ませていただきました。咲いている時間が短い花、に使われる字なのですね。「朝顔」ではしっくりこないと思い、恥ずかしながら初めて使ったのです。勉強になりました。詳しいことは調べておりませんが、瞬間の「瞬」の字のつくりが舜ですね。そのあたりの繋がりもふと面白く思いました。 選挙カーなど、あまりセンチではない言葉を自分の言葉としてどう扱うか、というところも課題だったように思います。 ていねいに読み込んでくださっているように感じます。それに耐えうるものを書きたく思います。 「ルピナスさん」、お薦めくださりありがとうございます。図書館に行って読んできました。正直に申し上げて少し好みから外れていたのですが、それでも優しい作品だと思いましたし、絵本を薦めてもらい読むということがすでに替えがたい経験でした。重ねてありがとうございます。 私からも、あすなろ出版から出ている、小川未明の「月夜とめがね」(画:高橋和枝)をお薦めさせていただきます。ご存じの可能性も高いと知りつつ。 簡単ではない読書体験とおっしゃっておられ、私としてはすごい賛辞を戴いた気になります。 コメントありがとうございました。 私も何かを見るときに何かを思い附けられるような、そんな精神でありたいと思います。
0藤 一紀さん 何度か読んでくださっていたとのこと、そして何よりコメントをくださりありがとうございます。 言葉の使い方について、言及をいただけてうれしいです。 本を読んでいても、きれいなリズム・字面の文章と、そうではない文章があるような気がします。きれいな文章はよくぼんやり目が上滑りしますし、そのせいで意味が把握できなかったとしても、文字を追うことそれ自体の快が発生しています。それはすごいことだと思います。 私自身もそういう文を書ければ、と思っている次第です。 その感覚を、とてもしっくりくる表現でおっしゃっていて驚きました。いいコメントをいただいたなぁと感じております。 ありがとうございました。
0