喪失 - B-REVIEW
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ことば

ことばという幻想

純粋な疑問が織りなす美しさ。答えを探す途中に見た景色。

花骸

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すごい

これ好きです 世界はどう終わっていくのだろうという現代の不安感を感じます。



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喪失    

時が過ぎてゆく中で喪いゆくものとは何であろうか。老いに、汚れに、時代に、孤独に挙げれば止めどなく始まって終わる気配は無い。それでも、私たちは、空や木々たちは、喪いことを恐れつつも、受け入れては美化し、それをまた美徳と呼ぶのは神の導きなのだろうか。声や、言葉よ、いつの時代にも喪失を美徳に仕立て上げるお前たちは、己の喪失を永久に知ることは無い。しかし、失うことによって新たに受け入れ、受け取り、それらは錬金されてゆく。我々は、芳醇な黄金を追憶と呼び、豊穣な未来を銀白と呼ぶ。二つは混ざり合って、天へ昇天する一筋の微光と成って、刹那の幸福を、永劫の英明を、我のすべてとして、今に燦然と潤めかせば、汚れは、冒涜などない、ただ純白な、血漿(けっしょう)を煌々とした麗しき水とし、心に染み込ませてゆくのだ。今の世、これまでの世よ、そして、これからの世よ、我らは心の陽に、星々の影に、潰えることもない。テクノロジーは、このささやかな調べの鼓動の煌めきを気付かせるための悪魔に過ぎないのだ。越えゆくものは既に無い。越えるべき時は、この繰り返しの中に在る、ただ一点の微光の中に、喪失した己を照らし、天明の宝珠の中に在る、天空の淡き蒼さを、下界の猛々しい草原のよろめきを、閉じ込めた風を浴び、うたれ、うたれ尽くすまで浴びてゆくのだ。己の手が有ることを、乙女の歌声が響く岬の畔を、すべて、すべて抱き締めて、奔馬(ほんば )のように、疾走し、黎明を通り抜け、朝霧を遮り、鬣(たてがみ)は靡(なび)き、衣を汚してゆくのだ。響き渡る音の連鎖から解き放たれた白き馬は、敷き詰められた雲に一線の蒼き線を造り上げて、架けてゆく。希望という喪失を残してーー


喪失 ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 0
P V 数 : 1438.0
お気に入り数: 0
投票数   : 0
ポイント数 : 9

作成日時 2019-07-19
コメント日時 2019-07-19
#テキスト #アドバイス募集
項目全期間(2025/04/13現在)投稿後10日間
叙情性33
前衛性00
可読性22
エンタメ00
技巧11
音韻11
構成22
総合ポイント99
 平均値  中央値 
叙情性11
前衛性00
可読性0.71
 エンタメ00
技巧0.30
音韻0.30
構成0.71
総合33
閲覧指数:1438.0
2025/04/13 09時55分11秒現在
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