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抱卵する空
空が繰り返す工作の 紙粘土の手は白くなるばかり 閃きを織り交ぜ また隠し 苛立ちは 体温が柔らかにする 少しの湿りがあれば 幾度でも仕切り直して 窓越しに見えた雲間に 僅かな蒼穹 あれは絵本とともに喪失した わたしの青い鳥ではなかったか 曇天には蕾を突きつけ 頭を捻る 朝顔はときどき柱を越えて 迷子になることを楽しんでいる 薄日のさす日 愛おしく 繰り返し 抱卵する空 紙粘土に手を白くして それから朝顔に水をやり ほころんできた蕾と この窓に 一面の青さを取り戻すまで
抱卵する空 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1687.7
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 40
作成日時 2019-07-16
コメント日時 2019-07-18
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 14 | 14 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 8 | 8 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 3 | 3 |
音韻 | 5 | 5 |
構成 | 10 | 10 |
総合ポイント | 40 | 40 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 4.7 | 5 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 2.7 | 3 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 0 |
音韻 | 1.7 | 0 |
構成 | 3.3 | 5 |
総合 | 13.3 | 16 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
こんにちは。だいぶん以前になりますが神話学者のカール・ケレニーが書いた「ギリシャ神話」の中にエロスに関する解説があったのを思い出しました。詳しくは忘れましたが、別の名前では「宇宙の卵」と呼ばれていたのだとか。なんとなく思い出しただけですが。 こちらでは今日も雲が太陽を覆っています。雲を透かして太陽の白く輝くのが見えます。 昨日は夕立ち気味の雨が降りましたが、すぐに止み、雲間に青空を見ることもできました。「抱卵」とはそうした様子をも表しているのかな、と思い重ねてみた次第です。 それと同時になにかしらを期待しつつ待機しているような明るい印象も受けました。それは卵や(朝顔の)蕾という、可能性をもったものに由来しているのかもしれません。 ふと、もうすぐ夏だなぁ、と思ってしまいました。
0藤 一紀さん こんばんは。お読みいただきありがとうございます。 梅雨明けは月末頃のようですね。去年は外で遊ぶことも危険な暑さでまったく参ってしまいましたが、今年はそろそろ夏の暑さというのが恋しくなってきました。短い夏になるのでしょうか? そんなふうに、藤さんの記憶や日常に僅かにでも触れるものとなったようで、とても嬉しくなりました。ああ、本当に私は嬉しいです。ありがとうございます。
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