別枠表示
生の価値
そっと露を被った名無し草で 古びたサンダルが濡れる。 夏の匂いに少し酔いながら まだ明けきらぬ朝を徘徊する。 冷えたアスファルトには くわがたの亡骸。 素知らぬ顔して 車は“それ”を引いてゆくのである。 温かい白熱灯には 生きた、かぶとむし。 笑みを浮かべた 子供らは“それ”を捕まえる。 死した“それ”には目もくれず 生きた“それ”には好奇を向ける。 生きているというのは それほど価値があるものなのか。 髪の毛の先から落ちた汗で アスファルトが濡れた。 もうじきに太陽が昇る 私は棲み家へと踵を返した。
生の価値 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1654.3
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 2
作成日時 2019-07-06
コメント日時 2019-07-13
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 2 | 2 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 2 | 2 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 2 | 2 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 2 | 2 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
生を好む者たちは、捕らえた獲物を意気揚揚とひけらかす。 手にした価値の輝かしさが、己の価値を高めるのだと。 死を好む者たちは、捕らえた獲物をただ粛々と引きずっていく。 手に入れた価値の重たさが、己の命を繋いでいくのだと。 わたしは描写が好きでして。最初の……ああ、一連目と言うのですね、視点と感性の描写だけで、舞台や人物、人間性といった、想像する上で必要な情報を表現できる腕は見事だな~と思いました。 死から生へと切り替わる狭間のような時間に設定しているのもいいですね。
0最低限の描写で情景と主題を上手く描けていて素晴らしいですね。
0