帰郷の日 - B-REVIEW
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ことば

ことばという幻想

純粋な疑問が織りなす美しさ。答えを探す途中に見た景色。

花骸

大人用おむつの中で

すごい

これ好きです 世界はどう終わっていくのだろうという現代の不安感を感じます。



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帰郷の日    

わたしは夢をみていたのだ わたしは知っていた 石が渓流を転げて玉へと変ずるように 思い出も年を経れば美しく変わってしまうのを 私は知っていた 現は揺蕩う雲の如く ひと時たりとも同じではないことを それでも わたしは夢をみてしまった 夢と期待と望郷の想いに胸をふくらませ 慎ましやかな家に帰ってきた 時はあまりにも残酷に鮮明に 思い出を美しく作り変えてしまった かつての優しさの木漏れ日は陰って失せ かつての聡明な硝子の煌めきはくもり かつての居心地の良さは落ちてしまったツバメの巣のように わたしの目を射抜き わたしの舌を干上がらせ わたしの足を挫いた ああ わが愛し子よ こんなにも小さくみすぼらしく変わってしまって! いいえ いいえ 変わったのはあなたもでしょう 陰気で虚ろな大人になってしまった 雫が飾るまつ毛で縁取られた 宝石のような一対の黒曜石 このあばら家に宿った無垢 この子は今夢をみているのだ かつてのわたしのように ならばその夢が永遠に続きますように もう風が吹いてきた わたしはこの泥沼をかき分けていきねば いつかまたこの現が 磨かれ 水底を転げ 美しい玉のような夢となるまで おやすみ おはよう わたしは夢をみていたのだ


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作品データ

コメント数 : 0
P V 数 : 1158.5
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投票数   : 0
ポイント数 : 6

作成日時 2019-06-24
コメント日時 2019-06-24
#テキスト
項目全期間(2025/04/13現在)投稿後10日間
叙情性33
前衛性00
可読性22
エンタメ00
技巧00
音韻00
構成11
総合ポイント66
 平均値  中央値 
叙情性33
前衛性00
可読性22
 エンタメ00
技巧00
音韻00
構成11
総合66
閲覧指数:1158.5
2025/04/13 09時43分40秒現在
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