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疾走
寝ている者を起こしてはならぬ それが そいつの役割なのだ 佇んでいる者を急かしてはならぬ それが そいつの仕事なのだ お前は違う 寝てはならぬ 佇んではならぬ ただひたすらに 役割と信じた道を疾駆する それがお前なのだ なぜ動かぬか 迷うておるのか あらゆる道が 自己嫌悪と侮辱に通じている そう思っているのか お前は 魂の気高い咆哮に耳を塞ぎ 崇高な輝きに目を覆う 死者の愚劣な叫びに耳を傾け 無意味な軽蔑を凝視する お前は 自分の魂を踏みつけている そうすることが 生きることだと 信じている それを生きるとは言わない それは 死 と呼ばれる お前は 敗北の泥濘に突っ伏し 時が過ぎるのを静かに待て 感覚を失ったなら お前は泥濘 幾数多の魂がそれと化したように やがて新たな敗残兵が突っ伏すだろう かつてお前だったその泥に そいつの卑屈な微笑は お前の魂そのものだ 役割を知らず そして 求めない者 それでよし 役割を知り それを求め しかし動かない者 ただ悲哀 賢く若い女よ お前は目覚めたばかり それまでの風景は幻覚に過ぎぬ お前が宿すべきは子ではない まずは魂を心のうちに宿さねばならない お前の蒼い魂は お前を求める魂の持ち主と一つになる それを宿すのだ 魂の欠落した肉体は 堕落した有機化合物の群れ 穴という穴から精液と愛液が垂れ落ち その身体は激痛と快楽にただのた打ち回る 肉塊の放つ風はことごとく腐敗臭を帯び 清新な木々の間を駆け廻っては 汚濁に歪む赤黒い霧で粉飾する 自然の優しさは彼らにも役割を与えていたこと しかし過去の優しさは現在の厳しさ そして現在の厳しさは未来の怒り 役割という型を逸脱した者は滅びねばならぬ 責任という器を軽蔑した者は砕かれねばならぬ それが彼らの今の姿 お前も誤ればそうなる 目を開けよ 霧がお前を覆う 逃げよ 走れ 短刀を抜け 刃を振るえ お前を守る者はお前のみ お前は蒼き魂を抱いてただ走れ 一縷の光が見えるだろう そこだ、その光に向かえ 疾走 疾走 疾走 気を引き締めろ 光だけを見ていよ 霧は赤黒さと腐敗臭を強めて迫ってくる お前を飲み込もうと狂喜している 叫べ 飛び込め!
疾走 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1083.2
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2019-06-08
コメント日時 2019-06-08
項目 | 全期間(2024/11/24現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文