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寂しい子供は墓を作る
田舎の昼下がりは 家も近所も無人地帯 犬は顎を出して昼寝中 鶏小屋もやけに静かだ 木の葉が風で擦れる音 テトラポットと波の衝突 小さく遠く かすかに聞こえる わたしの他に だあれもいない わたしだけがいる世界 野原を探検してみれば 小さな生き物を見つけて嬉しい 干からびた死骸を見つければ 悲しいような嬉しいような ネズミの骸 小鳥の骸 蝉の骸にミミズの骸 骸を集めて庭に埋め 四つの小山に小枝を四本 手を合わせてみるものの 経も言葉も出てこない 無言の葬儀 小さな弔い 毎日お墓が増えていく 空っぽのわたしが埋められていく 三歳の孤独な半日は 大人の十年よりも長い だから骸を集めていく 葬儀の間は寂しくない 干からびた 小さな骸を わたしは 今日も捜している
寂しい子供は墓を作る ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1889.5
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 17
作成日時 2019-05-31
コメント日時 2019-06-09
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 9 | 9 |
前衛性 | 1 | 1 |
可読性 | 4 | 4 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 2 | 2 |
音韻 | 1 | 1 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 17 | 17 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 1.5 | 1.5 |
前衛性 | 0.2 | 0 |
可読性 | 0.7 | 0.5 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0.3 | 0 |
音韻 | 0.2 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 2.8 | 3 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
拝読させていただきました。 >毎日お墓が増えていく >空っぽのわたしが埋められていく >だから骸を集めていく 小さな存在を弔う=つまり「わたし」以外の「だれか・なにか」に思いを寄せることで「わたし」の寂しさが埋められているんだと解釈しました。骸になったということは小さな存在が死んだということで、現実感がなさそうな無人地帯の田舎の中で死を感じることで現実を感じる、ひいては「わたし」を田舎に繋ぎ止めているのではないかと感じました。 とてもおもしろい詩でした。
0説明できない複雑で無邪気で美しい子供心が素敵ですね。 禁じられた遊びのようですが、あれよりもっともっと優しい世界です。
0むくろ、印象的な単語だと思いました。どうしてもネットスラングのアボーン(A Bone)を思い出してしまいますが、全然違う次元を踏まえた使い方ですね。幼児、幼時の優位性と言うのともちょっと違うニュアンスだったと思います。抒情性が感じられました。
0alice1017さん ありがとうございます。 >「わたし」以外の「だれか・なにか」に思いを寄せることで「わたし」の寂しさが埋められている そうなのだと思います。 悲しい哉、いまだに「わたし」は田舎に繋ぎ止められていますから。 おもしろいと言っていただけて、嬉しいです。丁寧なコメントをありがとうございました。 TwoRiversさん コメントをありがとうございます。 「禁じられた遊び」は曲しか知らず、映画を観ていないのですが、ググったところ、 子供が二人で墓を作るお話だったんですね。今度観てみたいと思います。 ということは、子供が墓を作るというのは、世界共通なんですね。 見聞を広めたいと思います。ありがとうございました。 エイクピアさん ありがとうございます。慌ててネットスラングで「アボーン」ググってみました。 そちらの感覚で「むくろ」を読むと、シニカルな感じになっちゃいますね。 それはそれで面白いかもしれませんが。 >抒情性が感じられました ありがたいお言葉です。胸に刻んで、しばらく喜びに浸りたいと思います。
0初めまして、佐久さん。 作品とても面白く読ませていただきました。 特に題名の「寂しい子供は墓を作る」がとても素敵でした。 わたしは題名をつけるのが本当にへたくそなので、こういう題名をつけられるのってうらやましいなあと思いました。 作品のなかでこの一文が特に好きでした >毎日お墓が増えていく >空っぽのわたしが埋められていく 「さびしくて空っぽだから、死体を埋めていく、そのことでわたしが満たされていく」という構造は面白いですね。ふつうは寂しいってなったら、誰かと電話するなり、遊び相手を探すなり、人間を求める。だけどこの世界には誰もいないらしい。だったら、と死んだものを求めるって言うのはどういうことなんだろう、しかも三歳かよっていう。笑 気になるのは、この子の親はどうしているんだろう、ということ。育児放棄なのかな?それともただ単に夏休み?ここはただ単に想像にお任せします、ということだと、少し読者に対して丸投げ感があるかなとも思いました。空白部分が巨大すぎる印象です。まあでも、どこまで説明するかって難しい線引きがあるので、そこは好みがわかれるところかもしれません。 もしわたしがこういうテーマを扱うとしたら、母親が行方不明で、母親の墓を作りたいけど作れないから、たくさんのお墓を作ってしまう旦那とかを主人公に書いてしまいそうだな、なんて思いました。そうしたらもっとドロドロしてしまって、こういう素朴な印象の作品ではなくなってしまうんだろうなあ。 楽しく読ませていただきました、ありがとうございました。
0静かな視界さん、 ありがとうございます。 狙った訳ではなく、事実をまんま書いただけという、お粗末な話ですみません。 仲程さん、 ありがとうございます。 三連目、言葉を探すのに手間取りました。私の中の「あの感じ」を伝えられた気がして、嬉しいです。 柴田蛇行さん、 初めまして。ありがとうございます。 ズバリ、育児放棄です。読み取っていただきありがとうございます(笑 ただ、その辺の事情を書くと、込み入っていて、おっしゃる通りドロドロもしていて、 しかも、三重構造以上にわたるネグレクトと、人っ子一人いないという特殊環境。 私の力量では説明的になるので省いちゃいました。 九連以外は、三歳の時の目線と心境をそのまま書いたもので、ノンフィクションです。 >空白部分が巨大 そうですね。大多数の人にとっては、ひどい投げ方ですね。 今、改めて他人目線で読んで、確かにと頷きました。 かと行って、何を足したらいいのか、思い当たらない始末です。 が、まあ、私の力量が上がっていけば(上がるかしら)、推敲できるかも・・かもしれないかも。 タイトルって、本当に難しいですね。いつもテキトーにつけてしまい、反省しています。 今回はたまたまタイトルからできました。 がっつりしたコメント、本当にありがとうございました。
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