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風の名前
「シュトルムンゴゾォロスキーは川へ洗濯へ行こうとすると川の方からやってきたのだが、それをさして不思議とは感じず、むしろワイマール憲法制定以降人類に与えられた基本的人権の尊重だと思っていたことがこれから起こりうる全ての過ちの始まりだということをシュトルムンゴゾォロスキーの5次元空間上の友達の友達はこの時まだ理解しておらず、あまつさえまだ名前もつけられる前だったことに加えて、旧約聖書も読んでいなかったから、天は天であり、地が地であるという集合的無意識知も持ち合わせていなかったという前提からこの物語は語られねばならない」 そんな冒頭から始まる児童小説の夢想に早30年の時が過ぎた 両親は突発性健忘症サナトリウム 妹は煙草を吸う権利を永久に放棄した 懶惰な身体性は魂の湖に鎮座した (⇔したり顔の††フタコブラクダ††) はっと、 風が吹いた あの(忘れもしない)6月の雨上がり 湿った地面の匂いをさせて 寝室の蚊帳を揺らす初夏の力学を なんと名づけようか 僕にはまだわからない
風の名前 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1590.6
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 11
作成日時 2019-05-26
コメント日時 2019-06-06
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 1 | 0 |
前衛性 | 3 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 2 | 1 |
技巧 | 3 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 2 | 0 |
総合ポイント | 11 | 1 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 0.5 | 0.5 |
前衛性 | 1.5 | 1.5 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 1 | 1 |
技巧 | 1.5 | 1.5 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 1 | 1 |
総合 | 5.5 | 5.5 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
この詩、コメントしようとして沢山の作品に埋もれて忘れるところでした。 >シュトルムンゴゾォロスキーは川へ洗濯へ行こうとす>ると川の方からやってきたのだが こんな風に、ん?何?難しい話?という幾つかの国の人名を重ねて造ったのであろう人物の名前が出てくるが、これは作中主体の考えた、或いは昔聴かされた児童小説の冒頭であり彼或いは彼女は三十年立ってもそれを覚えていて変わらず夢想している。その間に、 >両親は突発性健忘症サナトリウム >妹は煙草を吸う権利を永久に放棄した >懶惰な身体性は魂の湖に鎮座した 家族たちは様々な変化を経ている。しかし、ぼくはその変化の内容にあまり意味を見出していない。あるのは30年間変わらず一つのことを貫き通してきた主体と時間に翻弄されて無自覚に生きている(と、ぼくは思った。健忘症や放棄というのはその暗示だろうか)の比較のためだけに書かれている気がした。 >(⇔したり顔の††フタコブラクダ††) この同値記号で結ばれた一文はそんな家族へのちょっとした皮肉と優越感だろうか。主体は未だ持って変わらない夢想の中にいるようだ。 >はっと、 >風が吹いた >あの(忘れもしない)6月の雨上がり >湿った地面の匂いをさせて >寝室の蚊帳を揺らす初夏の力学を >なんと名づけようか >僕にはまだわからない 個人的にはこの連の響きは好きである。忘れもしない、という蚊帳の中か外かはわからないが冒頭の児童小説を読み聞かせられたときかもしれない。結局、ぼくは名づけが出来ず夢想し続ける。終始、夢想のなかのこの人にぼくは妙に興味を持って読んでしまった。長々と拙い文章を書いて申し訳ないが、好きな詩です。
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