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胃袋
胃袋に意思はあるか。 ないのだろう。 あると教えられたことも、聴いたこともない。 あくまでも、脳からの指令ありきだ。 口腔、または、ソレに準ずる部位から摂取されたものを、いったん入れる袋。 それが、胃袋だ。 そのはずだ。 そのはずだ、が。 飲み会を終えた深夜、わたしの胃袋はしばしば猛烈な胃炎を起こす。 それは、まさに赤い炎で炙られているような感覚。 眠っていても、ぬらりと起きざるを得ず、また、目覚めてしまったら最後、もう二度と眠れないような痛みだ。 ゴー、ジリジリ、キュムキュム。 そんな調子で動き続けて、わたしは胃袋の奴隷に成り下がる。 胃袋に意思はあるか。 ない、のだろう。 だけれど、あの痛みは確かに胃袋の反逆だ。 あの時間は、胃袋にすべての主導権がある。 それは、まるで世界のようじゃないか。 わたしたちが意思などない、と決めつけてきたものたちに奪われた時間が確かに、ある。 それは、まるで世界のようじゃないか。 意思などないと決めるから、痛い目に合う。 反逆などありはしないと決めるから、眠りを奪われた。 油断するな。 研ぎ澄ませ。 胃袋にだって、意思はあるのだから。
胃袋 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1288.3
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 2
作成日時 2019-05-20
コメント日時 2019-06-06
項目 | 全期間(2024/11/22現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 1 | 1 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 2 | 2 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 1 | 1 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 2 | 2 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文