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水の村
山中の隠れ里であるこの村では、家々はただ木組みからなり、木組みから水が流れる。すなわち全ての建物の外壁は水のカーテンであった。透明な水ではプライバシーが保てないと危惧するだろうか。内部から明かりで照らされた水の壁は千変万化の模様を見せ、不思議な風景を映しだす。その眺めは内部の風景と無関係とは言えないが故に、家の内なる人々の暮らしに対する幻想をかき立てた。 ある日、神が水源を干上がらせた。現在の旅人達は、山中にただ骨組みだけが残るこの村の遺構に首をかしげる。なぜ上に行くほど梁が太くなるのであろうか。文字をもたなかったこの村の真の姿は、後世に伝わらなかった。
水の村 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1868.2
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 21
作成日時 2019-04-28
コメント日時 2019-05-21
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 5 | 2 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 4 | 1 |
エンタメ | 1 | 1 |
技巧 | 4 | 1 |
音韻 | 3 | 0 |
構成 | 4 | 1 |
総合ポイント | 21 | 6 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 1.7 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1.3 | 1 |
エンタメ | 0.3 | 0 |
技巧 | 1.3 | 1 |
音韻 | 1 | 0 |
構成 | 1.3 | 1 |
総合 | 7 | 3 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
良い世界観だと思いました。(正直酷評するところが思いつきません、詩の中で情報がすべてまとまっていると感じたので)
0はじめまして。主観的・観念的・直情的な言葉が四方八方に林立する中、淡々とした説明的な記述によって成り立っている本作品が目に留まり、立ち寄らせて頂きました。 個々の描写は淡白だけれど、適度な張りと味わいがあり、とても綺麗な文体であると感じました。 内部の様子が見えそうで見えず、そのくせ見えたと思い込ませる村の家々の構造は、それ自体が幻想や空想のメタファーでもある気がしました。そして作品末尾の一節は、文字に対する作者の信仰を表しているように見えます。 神の気まぐれ一つで簡単に壊れてしまうビジョン。その原形を可能な限り残しつつ、他者や社会や後世に向かって語り継ごうとする努力。ここに言葉の真価があるよ――そんな声が聞こえてきそうです。
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