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night/MATERIAL BOY
ある一つの世界に 夕暮れの色が踊る ある一つの瞳に 海と空が臨界する それは終焉、幕開け、終焉 (そして一対の瞳は、夕暮れから夜にかけてを見据える) 塵とゲロと性器の滓の塊だから、 額に愚と書いた ジャンクな魂だから別に構わなかった 黒い瞳は夜を見つめる(密、蜜、とろりと溶け出せば、濃厚な青紺紫の夜) ブルーライトに光る白い肌 唐突に笑いだす 僕はマテリアル・ボーイ (夜光煌く街の上、脆弱な光を放つ星々、銀月、猥雑な夜は僕らのために息づく 息をする 夜の吐息、そこにシンクロするようにそっと息を吐く) 目覚めては 消える 感覚の 謎 の穂先に 宇宙を継ぎ足すにはまだ早くて (ゆっくりと綴じ、開かれる瞼 瞳) 骨折した猫と舌を火傷した犬を手当てしてあげる 小鳥にはケージを、魚には透明な水をあげる 少しずつ入れてね、 最初はゆっくりね あ、ちょっとくすぐったい 僕はマテリアル・ボーイ (下がっていく温度を切る鳥のひそやかな羽ばたきの音、黄色い光と空調の中で眠る幼子、繋がれた短い鎖の先で眠る雑種犬、食器の音、酒を飲み干し笑う声) 飛行機がちかちか光りながら頭上を滑っていく なめらかな夜風 疑惑、痛み、希望、無痛、絶望 繰り返し繰り返すことに意味はなく 天使の羽根は複雑骨折 微笑哄笑失笑畜生爆笑 響き渡るnight (濃密さを増していく、人々はめいめい壊れていく、夜だから、目は浅い眠りと目覚めを繰り返した、夜だから) 僕はずっと夜に佇んでいたんだ そこには誰も居なくて 音楽だけが、酷くふざけていて酷く真摯で酷く悲しい音楽だけが流れてた まるで僕の瞳のようなって言ったら、わかって貰える? 僕のどこにも交わらない微笑み そんなに悲痛な顔をしないで ほら、君にも会えた 僕は、マテリアル・ボーイ (僕らは夜の中を歩いていく、何処にもない場所を歩いている、朝日を浴びれば塵と化す、鳥の翼とくるりと丸まる豚の尾の先に 浮く月は白く 銀に) グラスの中の黄金色の泡 あなたたちは各自の瞳の中に世界を内包しようと躍起になる 或いは、各自の瞳の中の世界を外延させようとする 飲め、笑え、祝え 血塗れの祝福にしか、永遠はないと叫べ それから (宴 外に出れば遠い笑い声と静寂 ひやりとする夜風 誰かの嘔吐する音 夜明けまで4時間) 月の色染みて 瞳が滲んでいることに気づいていた だからわざと優しい言葉をかけた(そうするしかなかった)(僕らにはどうしようもなかった) もっと傷つくように 傷つかないように 傷だらけの手で少しだけその傷に触れた 僕の舌から漏れた言葉は 風の音にさらわれて、届かなかっただろう (そして夜は朝に近づいていく 憔悴した双眸は、それでも 朝焼け前の 赤く光る点滅ランプの上の 濃い蒼とグリーンの混じった不可思議な空の色を睨み続ける そして遠く霞んでいく白い小さな月を) 夜明けの街路に立ってる 肌蹴たシャツ 乱れた髪 口笛を吹きながら 夜通し漂い続けた 今夜も漂うだろう それが僕らの永遠だと ねぇ、また、どこかで 祝福のキスをあげるよ きみのじんせいにさちおおからんことを 僕はマテリアル・ボーイ (そうして瞼は閉じられる) ある世界に 朝焼けの色が踊る ある瞳に 空と海が臨界する それは始まり、終焉、始まり (そして一対の瞳は、夜から朝にかけてを見据える) 僕はマテリアル・ボーイ
night/MATERIAL BOY ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 835.0
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2017-05-10
コメント日時 2017-05-12
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
これ、ものすごーく歌詞っぽいです。リズム感半端ない。 自分の中で、「歌詞っぽい」というのは最高の賛辞です。要するに、詩語が止まっていないんですよ。 先へ先へと動いている。 昔、渋谷陽一が「ジョン・レノンの素晴らしいところはブレ続けるところだ」とかなんとかどっかで言ってた覚えがあるんですが、 この詩にもそういう躍動感があります。 そして、「僕はマテリアル・ボーイ」って言う決め台詞を、何度もリフするところがカッコいいんです。 どなたかに作曲を依頼してもOKな気がします。専門家じゃないので、詳しくはわかりませんが。
0都会の夜、ホストみたいな、でもそうした「職業」についているようでもない感じの・・・カッコイイ、寂しげで青白くて、そんな青年を追いかけたドキュメンタリータッチの映像(映画というより、音楽のプロモーションビデオ)を見ているようなきがしました。 美しすぎる人工的な光景と、「醜」を象徴するような二連目の冒頭・・・美と醜を対比するような感じで進んでいくのか、と思ったのですが、美しさと寂しさと喪失感(砕けていく、滅びていく、という進行形の感じではなくて、繰り返される骨折のイメージのような、カクッと断ち切られたようなイメージ)の方に傾いている・・・のを最後まで読んで、もっと伏線的に「醜」「汚」(でも愛すべき、人間らしさ、のような)ものを入れていった方がいいのか、二連目の冒頭の唐突感を、むしろやわらげた方がいいのか・・・どっちなんだろうな、と思いつつ・・・
0僕はマテリアル・ボーイ 私のことを謳っていただき、有難う御座います。
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