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カカオトーク
丸ぽちゃで度の強い眼鏡をかけた写メを わりと平気で送ってきたKちゃんは 静岡のサーファーで 私のタブレットの中の いいかげんなみずいろと黄色のイラストの中にいる 春よ濃いもちもちトーストの焦げる香りが萌えだというKちゃんは 「君の声って ときどき 捨てられた仔犬みたいに聞こえるんだ」といつも呟く いつもいつも私のきりのない愚痴を 「うんうん」と聞いてくれる 私はこのKちゃんと 深夜にチャットしていて気管支喉頭炎を起こしたのだ 「ぱぱ、殴らないけどでーぶぃするんだ。 言葉で誰でも殴るんだよ。 ままがキッチンドリンカーになった時も『お前のせいだ』って。 わたし、気持ちにファスナー引いてにこにこしてた」 と言って私は素直に泣いた Kちゃんは心配そうにでもあかるく 「それはほんとに病気かも知れないね。 気持ちって大事だよね」と返してきた Kちゃんの 何十回目かの ※印と()のついた「大好きだよ」に 私は頭がぼおっとして 「もう疲れた」と、もも色のアイコンで返事した 私がまたけんけんと咳き込み始めると Kちゃんは勘よく親切に 「水素水飲むといいよ。それと今週はアイスクリーム禁止」 とウインクした
カカオトーク ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 997.8
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2017-05-08
コメント日時 2017-05-12
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
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エンタメ | 0 | 0 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
連分けしていないのだけれども・・・なんとなく、連ごとにまとまっているのかな、という感じで読みました。 「~Kちゃんは・・・~いる」「~Kちゃんは・・・~呟く」と同形の前置きがあって、「いつもいつも私のきりのない愚痴を~」から、散文体というのか、語りのような感じになる。いつも呟く、の「いつも」を受けているのかな、と思いつつ、ここから先は、あえて「詩」にしようとしないで、「そのまま」言葉を置いたような、自然な印象を受けました。 黙って話を聞いてくれる・・・簡単そうで難しいこと・・・それは、「※印と()のついた「大好きだよ」」から発せられることなんだろうな、という、留保付きの「大好き」で・・・そのことを語り手も分かっているから、「もう疲れた」と呟いて重荷を下ろしたくなるんでしょうね・・・。 水素水を飲む、アイスクリーム禁止、という、軽めの行為/厚意/好意による「やるべきこと」の提示・・・まるでカウンセラーのようだと思いながら・・・語り手は、「Kちゃん」との対話を思い起こすことで、気持ちを解放したり、自分でそれを確かめたりすることができるようになって行くのかもしれない、と思いました。
0まりもさん 評ありがたく思います。・・・そうですね、これ作品らしく仕上げるのであれば行分け必要でしたね。 詩と言うよりも、日記みたいなそれ以前の日常の意識の流れなんですが、これ。 今思うと、カカオトークの雰囲気を書きたかったんですねぇ。やったことある方はご存知かと思いますが、 LINEとちがって、SNSの背景とかのつくりが、私から見ると雑なんですね。いい加減。 で、いわゆる出会い系とかで本名を即明かしたくない人が、イージーな手段として使うって言う認識が、あくまでも私の中にはあります。 その適当で、だけどちょっと~なムードを出したかったのですけれども、ちょっと芸が足りなかったかな。 ちなみに、Kちゃんはご指摘通り、ずばり下心ありのカウンセラーですね。
0この詩はLINEでなくカカオトークであることに大きく意味があるんだよね、と書こうと思ったら言いたいことはすでに作者が書いていた。 カカオトークが詩語として使われたのはおそらくこれが初なのではないだろうか。 現代詩は作者ごとの作風の幅が広いといわれはするが、その中で使われる詩語はまだまだ典型的な場合が多いような気がする。従来からの語句を詩語に使っているか、でなければ「詩語っぽくない語句」の典型を使っているかで。まだまだ詩に使われていない語句はたくさんあるように思える。 前衛をみんながやりだしたら前衛でなくなるよう、いままで使われてこなかった語句でも一気にみな使ったら新しみは無くなる。LINEだったら、おそらくもうネット詩のフィールドでは多く使われているだろう。そうでない、まだ真に手垢のついていない語句を発掘すれば、従来の語句には無かった詩情を詩作品に付与できるかもしれない。部品が持つムードが全体に影響を及ぼし得るだろう。私事だが自分も出会い系サイト名称が多く出てくる詩を推敲している。
0上記の祝儀敷さんのコメントになるほど!と唸りながらこちらのコメントを書いておりますが、スタビを思い出しました。 スタビ。。スタービーチという出会い系サイトです。出会い系サイトにおける男女のやり取りは、即興詩に近いラブレター的なるものが技能として必要とされる世界。 「君の声って ときどき 捨てられた仔犬みたいに聞こえるんだ」 この台詞をスラスラっと云える、これが、まさに典型的な出会い系サイトにおける即興詩。ライト感満載の作品が、当サイトには多く寄せられますが、本作『カカオトーク』は男女のやり取りという点で、最強かもしれません。
0祝儀敷さん まさか祝儀敷さんにお褒めの言葉を頂くとは思わず、大変恐縮しております。嬉しかったです。 確かに、これは詩に使ったらいけないと暗黙の了解になっている単語ってありますね。 ・・・私、数年前に官能詩のオファーを頂いて。そん時、「性交」とか「オナニー」とか「陰毛」とか「膣」とか、全部はっきり書いちゃったんです。 だって、今どき愛し合うとか、花芯とかって表現かえって恥ずかしいじゃないですか。 でも、そん時はもう、全国区的に黙殺されました。 しかし、今は「膣」って詩に書く詩人いるようになったよねと。祝儀敷さんの出会い系サイト詩、読みたいです。
0三浦さん >出会い系サイトにおける男女のやり取りは、即興詩に近いラブレター的なるものが技能として必要とされる これ読んで、はっとしたのですが、我々は出会い系サイトと言う、今現在はもっともいかがわしいとされているバーチャル空間で、 実は相聞歌の伝統を復活させつつあるのかも知れませんね! ・・・私、歴史認識がちょっと曖昧なんですが、源氏物語とかのあれです。 男が女をものにしたいと思う時、巧い歌が読めないと野暮い。女の側も、下手な返歌を送れば馬鹿だなぁと思われる。あれです。 この詩も、実はKちゃんはやれるかやれないかの勝負をかけてますし、「私」はやらせるに値する相手かどうか見極めてる段階なわけです。 そういう意味で、実はこれライトなやりとりの詩じゃ全然ないです。
0花緒さん 客観的なストレートな花緒さんの短いご感想が、実はこの詩の本質を一番突かれた気がして面白かったです。 確かに、リアの会話でこれゆってたらハルキ・ムラカミの登場人物たちですね。ありえん。 バーチャルだから許される愚痴と口説きと。・・・今、バーチャル空間って一種のバブル期以前の赤提灯になってんだろうなと、 私は密かに思っています。
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