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十年前の秘め事をテレビに繋ぎ見ているカップル
十年前の秘め事をテレビに繋ぎ見ているカップル 男はテレビの男をこいつと呼ぶ 女は可能性は死んでるねと呟いた 4:3の画質の悪さ あのころの自分 ミニDV 外は雨が降っている 8本目のビールが空く 女は冷蔵庫へ 「巻き戻して」 男は窓を開ける 雨音が入りテレビの音は外に漏れる 在りし日のナイター中継 二人ビールを空ける 男はじっと外を 女はじっとテレビを見る 「雨やまないかな?」 「やんでどうするの?」 男はそっと彼女の手を握る 女はその手に火のついたタバコを渡す 煙は雨に潰され漂わない 女は男の背中を見る テレビでは情事を終えた男がタバコを吸っている 私はどちらにせよ映っていない それでも傍にはいるはず 君よ何を考える?」 今日とてそれは過去と一緒 テープが終わりテレビの砂嵐を思い出す 過去に抱かれ今日を眠る 朝に巻き戻してやろう 男は笑って眠る それが最後の夜 あきらめた それが朝
十年前の秘め事をテレビに繋ぎ見ているカップル ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1043.2
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投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2019-02-04
コメント日時 2019-02-04
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
拝見しました。 インパクトある題名で、「十年前の秘め事」が作中でのテーマであるとともに大きな謎となっております。 まず、十年前の秘め事が映像であることが分かります。それも内容は情事であるらしい。また、その映像に主人公は写っておりません。 秘め事を、主人公と女はビールを飲みながら見ています。主人公は、その映像に自己を重ね合わせます。 作中に漂う退廃的な雰囲気は、主人公の「あきらめ」から来ております。人生のなにかのタイミングで「あきらめた」主人公は、まるで「巻き戻し」のように同じような日々を過ごしてしまっていて抜け出せない。「今日とてそれは過去と一緒」にもそれが表れている気がします。 面白く感じたのは2連目冒頭です。いままで「男」表記だったのが突然の「私」、そして何らかの意図があるであろう 」 の部分。このパートだけ、男の本音のようなものが書かれてある気がします。 あきらめた、そして人生に冷めているかのような主人公ですが、女の「火のついたタバコを渡す」仕草のさりげない献身性で、主人公はなんとか生きているのではないだろうか。そんなことも想像させられました。
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