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彷徨い
ずいぶんと手の込んだ音楽をつくっている みんなあのリズムには苦戦したらしい 今度やるときは言ってね あそびに いくから … みんなの為に この人は素手で こんなことをしていたのか そこで楽しむ俺達は 気にもしてないようにほったらかして 自分の手を 汚すまいと 誰かがすぐそばにいるのに手紙を書こうとした 直接言わなくても済むように 中途半端な 尊敬と、体裁と、立ち振る舞い 彼は怒った 彼の古い友だちも怒った 俺は触ってもいないのに手を洗う 冗談で 誤魔化しながら … 「いなくなる時はスッとね。」 と、 知ってる友だちの彼女 人気のほとんどない夜 商店街 デパート 地下街 てのひらの 壺のタトゥーを見られる女と占い師 どこを通って来たっけ? 暗い階段を下りる 「ここはうちの親が懇意にしてる店。」 と、居酒屋風のすこし高そうなお店 お金持ちそうな紳士のおじさんと、その知り合いの女性が同伴者 その他に知らない人が数名 みんなお店に入って行く 俺はスッと引き返す 階段を上る 後ろから 一緒に来たなかにいた知らない女 君もか おつかれ それじゃあ … 街を歩いて 気がつけば草むらに迷い込んでいた 絶対にここからは 来ていないと引き返す 住宅地のような、閑散とした草むらの坂に 何件か 小さな店灯り 「今日は開いてるみたいね」 点集軒ののれんをくぐる不機嫌そうな知っている子を見た たぬきの絵がおどっている この店ではヒキガエルを眺めながら白ご飯を食べるらしい ずいぶん前にさっきすれ違った連中が言ってた みんな知ってる顔で 顔を合わせず 見ないようにして 気づかない ふりをした 向こうも気づいてないらしい 少なくとも 俺にとっては そういうことが 前にもあった
彷徨い ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 916.2
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2017-05-05
コメント日時 2017-05-09
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
フェイドアウトするような冒頭、「手」の温もり、手触り、手紙・・・手に関わる太い流れがあって・・・てのひらに刻まれた「壺」の中に、作者は(読者も?)入り込んで(落ち込んで)しまったかのような、西遊記的な驚きがありました。 「みんなの為に この人は素手で こんなことをしていたのか」この一行が、とても好きです。蛇つかいの音楽みたいに、不思議ワールドに連れて行ってくれる、癒しなのかもしれないし、冒険なのかもしれないし、そんな音楽。手を汚さないと、美しいものも不思議なものも出来ない。 入り込んだ不思議な町は、手を触れない、手を汚さないようにした「罰」なのか、そのことに気付いて手を洗うふり、をしたのか・・・それとも、誰にも知られないところで、黙って手を汚している、そんな素敵な仕事をしている人の存在に気付いた人だけが体験できる、「ご褒美」なのか・・・彼、古い友達、彼女、とたくさん人が出て来て、ちょっと混乱しました。その「困惑」も、作者の手品にかかってしまった、ということなのかな・・・でも、人間関係をもう少し、はっきり見てみたい気もします。
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