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やわらかいおり ※
あまりの寂しさに 体からスライムを出せるようになった僕は だれも覗かない自室の中で強張ると 無色透明な粘液に包まれる まだらに入った気泡になんだかやすらぐ 必然性を含有していないからだろう 生物がいたことのないアクアリウム 地球みたいにぷるぷるゆれている 味も臭いも経験値もないから責めてこない 一切の記憶がこのスライムにはない ひんやりだけをこころに据えて 欺瞞だとしても浮いていよう 寂しさの代償によって 僕は守られていく ねとねとしているけれど くっつきはしない
やわらかいおり ※ ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1286.9
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 3
作成日時 2019-01-15
コメント日時 2019-01-20
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 1 | 1 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 3 | 3 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 1 | 1 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 3 | 3 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
※B-REVIEW杯不参加作品 2018年は旧作ばかり投稿してしまったので、現在の私の状態を見て(診て)もらうために新作を投下します。 2018.10.10 第1稿 2018.11.8 第2稿 2019.1.14 第3稿(この稿) 題名は白犬さんの案を採用させてもらいました。 https://twitter.com/shiroinu85/status/1049718267596627969
0あまりの寂しさにスライムになる。 スライムというのは不定形で輪郭も曖昧ですよね。そこに人間は人との関係性で自身を規定しているような意味があるのかと感じました。寂しさからそうなったものの同時に、その関係性に疲れてもいるのかな?というのが二連目の必然性を含有していない気泡に安らぐ描写なのだと。やがて記憶すらない一個のスライムが浮遊してる光景は想像するに解放感をぼくに与えてくれました。
0拝見しました。 何となく自分語りのようなコメになってしまいますが、自分なりの解釈と考察です。 スライムは本来ベタベタしていてくっつくものですが、貴作のスライムは体にはくっつきはしません。 スライムは必然性がなく、責めず、記憶はありません。 寂しさによって、自分からスライムを出せるようになった主人公は、それに寄り添うようになっていきます。が、責められず、記憶もなく、ただの物質でしかない(ような)スライムに依存していく様が、主人公の内面の膨大な寂しさを思わせ、またそれがスライムに触れる毎に膨張していく様が表現されています。 必然性の解釈に悩みましたが、私は、生きる意思、生命を維持させようとする意思のようなものと読み取りました。 さて、ここからは本当に飛躍した話になりますが、私にとってスライム、と言えばドラゴンクエストの最序盤の魔物を思い出します。昔読んだドラクエ6の漫画、作中のラスボスは、無限に広がる「無」の恐怖に耐えきれず、スライムという1匹の魔物を生み出しました。地獄の苦しみから逃れる為生み出した、1匹のスライム、という点で相似のような感覚が致しました。 話を戻しますが、締め「くっつきはしない」です。推敲前では「粘つきはしない」で締められていましたが、あえてくっつかないようにしたということは何かしら意味があるということでありましょう。例えば失恋を主人公がしたとすると、ずっと近くにいた(くっついていた)恋人がいなくなった穴を代替品(スライム)で埋めようとしているが、どうしても埋まらない、満足出来ないさまをくっつきはしない、と表現しているのだと読み解きました。
0帆場蔵人さん この作品はなかなか難しい立ち位置でして、というのは作者の私からするとありがちな設定だなと。だいたい孤独な詩中主体なんてあまたの詩人が書き尽くしているし、なぜ書き尽くしているかっていうと往々にして詩人なんちゅうのは自虐しながらも自己愛強いから「孤独な私カワイソス(だからみんな注目して)」の精神で書くからだ。無論私がそんなナヨい気持ちで詩を書くわけが無いが、しかし系統としてはこの詩はそれ系になってしまっている。最近パンチのある詩が書けなくなりました。 とはいえ私も下手に書いてきてはいないわけですから、凡庸な設定でも読める詩を構築する術は施すわけです。気泡だなんだとはそういうわけでして。詩の書き方というものも考える時期なのかもしれません。
0ふじりゅうさん 思えばスライムとは不思議な立ち位置の存在です。もともとスライムとは物理攻撃が効かず炎で焼き払うなどしないと倒せない厄介な敵としてフィクションに現れました。しかしゲームの敵としてのスライムは非常に弱いモンスターとして登場させられ、ドラゴンクエストに到ってはもはや判固形のマスコットキャラクター。 詩中のスライムはゲーム以降のイメージが強いでしょう。「ドルアーガの塔」でスライムが出てこなかったら私がこの詩を書くこともなかったのかも。
0こんにちは 感じたままを感じたままに ひとことで言い表すならば、胎内回帰願望が表現されていると感じました。 題名は「やわらかいおり」としておられますが、むしろ「やわらかい殻」ではないのだろうかと感じました。いうまでもないことですが 卵殻をイメージしたからです。 文学極道のほうも閲覧させていただいたのですが、どうやら「柔らかいおり」は「檻と澱」が かけられているようですね。 そのような説明を聞かないで「やわらかいおり」という題名を目にしたときには「やわらかい檻」だとばかり思いました。やわらかいという形容詞がわざわざついているのだから、次に来る言葉は元来は固いものであると連想しました。ですから「澱」というゲル状のものが「おり」という言葉の中に含まれているとは 思いもしませんでした。 魅力的に感じた点は、生体を表す言葉ではなく、「スライム」という人工物のセレクトです。なんだか今っぽいです。生き物との乖離が感じられる言葉なのに、わたしの場合は懐郷心みたいなものを感じて 本作品に強く惹かれました。 なお ゲームに登場するスライムは、わたしの意識には無い状況で、わたしの場合は本作品を拝読しくした。わたしがイメージしたのは 玩具のスライムです。手作りでスライムをつくったときの触感などをたよりに、私の場合は 本作品を拝読しました。
0拝読しました. 第2連 「まだらに入った気泡になんだかやすらぐ 必然性を含有していないからだろう 生物がいたことのないアクアリウム 地球みたいにぷるぷるゆれている」 目の前のスライムからのスケールの広げ方が素敵と思いました. 後半の2行でぼくはつい孤独な深海を想像します.
0るるりらさん 胎内回帰願望といえば高校の時こんな映画を作りました、ってURLを出そうとしたらなんかYouTubeの規約に反しているから削除とかなってて(アップしたの7年前だぞ)、代わりに変なサイトに転載されてました→http://jp.channel.pandora.tv/channel/video.ptv?c1=&ch_userid=jpchan04&prgid=46509251#reply_line スライムは残すかどうか推敲の最後まで悩みました。これだけ横文字だし。入れたほうが詩文に起伏がつくかなと考え残すことにしました。
0鈴木歯車さん 地球っていったら命のスープこと海洋が広がっていますが、あえて「生物がいたことのない」と逆張りした表現で使ってみました
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