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白狂い
シャカは食中毒にたおれた 豚かキノコがあたったらしい ゴータマ シッダルタ シャカムニ クソマミレ ああ 何としても ツマグロヨコバイの生態を解明しなければならない 白いソーセージが食べたい ゴータマよ 出産は身体の外側の出来事です 子宮も腸も皮膚の一部です 内側に窪んだ表面です 腸詰に血を混ぜるのも当然だ 表皮と骨肉の優雅な錯乱 おお アルマジロも鼻白む ほのかな白狂の 最後の一滴 血の一滴 産道は血の海です 食事どころではない まずイチゴを 黄色い精液で和えよう 精液に血を混ぜたものが膿だから 低熱殺菌すれば ほぼ三位一体だ 約束の地に 乳が流れる 地の膿です ああ 早く白くなりたい 袋を裏返しに脱ぎ捨て さらさらと流れたい こんどこそ 尻を真四角にしなければならない ねぎまぶるいいすと ガンダルフはついに白くなった 肉がかたりと外れ 骨が白叫する フリーズドライの秘蹟 軟骨よ ザクロよ 粘膜よ 白くなるまでせにゃならぬ 産道に白い腸詰を 死者には花を あの 植物の白い子宮を * 朝が近い 白便にまみれた師よ エレファンタの裔よ 腐敗の神秘も明かさず なぜ豚キノコなどにあたったのですか 悲しみに鼻が落ちる 股倉が粘つく おお どのように鼠蹊部が化膿しようと 修行僧たちよ 怠らず努めよ まず 醗酵の神秘を解明しなければならぬ 我に腸詰を与えよ さすれば裏返してみせよう 血と傷にまみれし薄皮よ 何としても 腸詰の背骨を食したい 白い神経の糸引く肉詰を すべての毛穴に押込みたいのだ 子宮も腸も口の一部です 吸収と排出の往復ポンプです 挽肉に血など混ぜても無駄骨 しょせん生殖も体の外側の出来事です どうか笑わないでいただきたい 歯茎がめまいする 強化粘膜がひび割れる もう 背骨が白叫する まだ産道は血の海です 食事どころでない 逆上して油を注がねばならない 折しも 胸から膿を垂らし 股から精を垂らし 脇腹からとめどなく乳を垂らしたあの女が 乾いているのです 血はどこで乾くですか 精液と血で 膿ですか 乳はどうするですか 低熱殺菌ですか リベラーメドミネ リベラーメ おお ミネラーレ飲みね リベラーメ 水が飲みたい ミネラーレ さえざえと ねぎまぶるこの朝 見よ 乳も 膿も 精液も 粗塩のごとく流れ出す 粉肉はすでに四散した 錆付いた東の空に 宇宙の粘膜が蒸着する おお 軟骨よ ザクロよ 粉瘤よ 千々に砕けて夏の膿 透けてくるまでせにゃならぬ あまたの靴下に象の眼を 死者にはせめて犬の歯を 白い産道を優しく噛み砕く あの 煮えたぎる光の棘を
白狂い ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 969.9
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2018-12-08
コメント日時 2018-12-15
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
インド的な印象を持ちました。拝読しながら、パン生地も精液も乳も白色だったな、と思い、また読み返して、<黄色い精液>以外の色の描写が白しかないことから、題名に納得しました。<ねぎまぶる>の意味が、第四連と第八連で違っているようなのが、ひらがなの効果を思い知らせてくれるようで面白いです。 しかし今作は、体の一部が多用されている……色という装飾があったから良かった気がしますが、これ以上臓器を用いた表現が増えると、その印象一色に染まってしまうと思われます。
0仁川路さん、コメント頂きありがとうございます。ご指摘のとおり、これ以上臓器のイメージがあふれると、作者としても手に負えなくなると思います。逆にいえば「白」だからこそ、釈尊の故事を手掛かりにして体内巡りができたのかもしれません。 この詩はある年の8月15日、終戦記念日に、冒頭から「死者には花を あの植物の白い子宮を」までほとんど一気にイメージが浮かんだものです。入口は仏教で、中盤以降は西欧キリスト教。後半の第五連以降は、ほぼ一年後に、前半部の変奏ないし反歌の意味合いで書き加えました。
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