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貴形児
父母曰く僕の脳は奇形です その凹凸に蜂蜜を流し込んで ミクロの人魚を泳がせる 注意欠陥だとか多動性だとか 形容詞ならありあまるほど持ってる 欠落箇所に花を詰めて 突出部分に電飾飾り それは芸術にはなれないと 芸術家気取りどもが言います もう義肢でおしゃれする時代です 先進性は速度を増して宇宙の膜を突っ切ろうとしている なんでもかっこいいやかわいいほうがいい というのもまた思い込みで 僕は私でもあって醜悪なものも好き それなので夜はポンティアナックになれます 夜空の血は甘酸っぱい 内臓の欠落または過剰も 空想医療に基づいて補いましたら どうせなら架空臓器をぶら下げるくらいの気概があってしかるべきです 拡張する機能は 拡張する精神は 車玉座から地脈に伸びる 赤ちゃんは脳の中で培養されて 僕と一つになります 増幅する虚妄は 増幅する実存は 冠になって燕の羽を太陽に伸ばす 内部で増幅し続ける王様と仔馬 つまり健常者とは献上者でもあり 車椅子を押す権能や、生活を助ける機能 使える人は使われる人なのです 僕は使えないやつで結構です でも押し込めて殺すのはやめてください ナチスはもう古びている 僕は僕をうまく使えない 僕は僕の手にさえ余る やはり僕はあなた達ありき たくさんの助けありき なんでも普通にできるショゴスありき だから僕たちは貴方達よりも尊いのです 誇り驕り吃り生きます 僕は何にでもなれる あなたたちの思い描く何者にもなれなくとも だってほら神様だって足が立たなかった 仏様はあんなに手や顔をもっていらっしゃる 僕たちは生きるのが苦しいですが 天国は電気信号かもしれません 地獄は蜃気楼かもしれません ゆくあてのないことは嫌いです 今ここにある我を抱きしめるために薬を拒否して それは無駄かもしれません 選択権はそれでも自分の元に欲しい 歩き疲れて座り込んだら 引っかかった誰が転ぼうと知りません もうずっと眠かったのかもしれない 夢が蝶の脳内に収まらない分を 燃やした煙を吸います まだうっかり呼吸を忘れたことはないので 時間は忘れてしまおうと思います 生涯障害と呼ばれるもので背中を飾って その重みで今日も猫背
貴形児 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1057.7
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2018-12-01
コメント日時 2018-12-07
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
以前のアカウントには入れなくなってしまったのでこれは新しいアカウントです。
0どこまで語り手の身上に迫れているのか、というところで二の足を踏んでしまうのですが・・・ 言葉の選び方のカラリとした感覚や、スピーディーに進行していく詩行に好感を抱きました。 多くの人が様々な形で抱えている(程度にも激しく差のある)生きづらさのようなものを、障害という「比喩」で表しているとしたら、気持ちの上で抵抗が残ります。 障害を持つものが、いかに境遇を受容していくか、ということであるのか。 その過程に寄り添うことで、健常者(と呼ばれる人達)に気付きを与えようというようなことであるのか・・・ 僕は何にでもなれる この明るさが、とても良いと思いました。
0まりもさん。コメントありがとうございます。やはり自分の思った通りには伝わらないなと思いますが明るいと受け取っていただけたのは嬉しく思います。一応言わせていただきますと、この詩は障害者がいかに境遇を受容していくかというような話でも一人一人の生きづらさを比喩しているという話でもありません。自分は軽度のADHDを持っていて、周りとなじめず苦労した経験がありまして、そのことからくる健常者どもへの個人的な憎悪をいかに楽しく表現するかということ、また障害者としての自分をいかに傲慢に肯定していくかということにチャレンジしたものです。 子供の頃は本で仕込んだ平等思想で、同じ人間として受け入れてもらいたいと考えていたのですが、成長につれてなんで受け入れて「もらう」なんて態度じゃなきゃならんのだ。むしろ俺や俺以外の障害者の方が健常者よりも優れている、健常者なんてこの世で最もくだらない存在だと思うようになり、この詩ではその思想がモロに出ています。健常者はいなくてはならないと言っている時点でまだ全然傲慢になり切れていないとは思いますが… 話の収集がつかなくなってきたのでここで無理やり切らせていただきます。
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