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無傷神話にしていいよ
ぼくらの表面をまっ白な蝋が覆う。 窒息しそうだよ、いつだって、 仮面をつけられている みたいで。 ( これは雪だよ ) きみは詩人だね。 ほんとうは雪なんてもの、 この世に存在しないのに。 ぼくらのカラダはあまりにもツメタイ。 降ってくる熱さがすぐに固まってしまう。 ぼくはきみが、雪だというものを 手のひらにのせた。 ( すぐにとけるよ ) ( とける、から ) 凝固した蝋がちいさなクリスマスツリーを ぼくの手のうえにつくってゆく。 ( 降ってくるのは イノチなんかぢゃない。 + 積もることしか、 ぼくらの命に能はないんだ ) 「 ぼくたちの愛は 積もることさえできないぢゃない。 + でも、消滅してゆくって なんて可憐なのだろうね 」 冷たいユビサキで きみがぼくの頬にふれる。 ぼくらの家にはストーブがない。 きみはあたためるのをあきらめて、 ぼくの手にできたクリスマスツリーを やさしく折ってから、あふれだす 赤さを処置してくれた。 「 痛みは野蛮なカンカクだよ 氷と地面のヒビが同時に 深まるみたいだ 」 血が、 じんわりと ガーゼに染みてゆく。 オキシドールのあまい香りが ぼくらの距離を 近づける。 ( 深まってゆくのは ぼくたちのカンケイだけでいい。 熱さはうちをながれるものだよ ) 「 かつて、 ぼくたちは セカイ平和よりも 自らの孤独を選んでしまった。 その埋め合わせに男女が 必要なだけだろう。 + アダムとイヴが他人だとすれば、 ぼくたちは出逢うことすら できなかったはずだ。 + けれども、 それの代償がセンソウだなんて、 ぼくには信じられない 」 その通りだ、と きみはうなずいていう。 ( ぼく、きみにうそついていた。 あれは雪なんかぢゃないって、 ホントはわかっていたんだ。 化学兵器の蝋で肺が やられるまえに、 + ぼくで息をしてよ。 していい、よ ) ぼくたちのくちづけは神話になる 誰もしらない、ただの神話さ。
無傷神話にしていいよ ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1041.8
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2018-11-13
コメント日時 2018-11-16
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
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前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
HNはイイね
0渡辺八畳@祝儀敷さん どうもありがとうございます。 詩の内容は────:) ううん。
0この詩を表現する言葉を僕はもちあわせていないなと感じました。 男女の会話のようで、ガブリエルとルシファーとの会話のようで… どんなに頑張っても、しょせんこの世界は変えられない。そんな切なさを醸し出しています。 > ( 降ってくるのは イノチなんかぢゃない。 + 積もることしか、 ぼくらの命に能はないんだ ) 「 ぼくたちの愛は 積もることさえできないぢゃない。 + でも、消滅してゆくって なんて可憐なのだろうね 」 ( ぼく、きみにうそついていた。 あれは雪なんかぢゃないって、 ホントはわかっていたんだ。 化学兵器の蝋で肺が やられるまえに、 + ぼくで息をしてよ。 していい、よ ) この段が僕の心の琴線を刺激します。 ありがとうございました。
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