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寒露
狭霧に男湧く 冷え沈む山の呼気 男は浴衣を濡らして、待ち受けている 旅亭にて、赤いカーペットの廊下を女たちが歩いてゆく 青く均された露天湯に向かう友達 木桶などが静かに、早い客を待っている 窓際の籐椅子は、未だ昨夜の談話の続き バイクが一つ、川向こうの道を通っていって 音だけが橋を渡ってきた 誰かの悩みは、西の彼方へすっかり飲み込まれ カレンダーの表示をまだあやふやにしか受け取れない時間帯 もうすぐで水たちは無事に夜番の努めを果たす 朝日だ 町の建物が、挨拶の前の沈黙、一斉に目覚めていく 今や戻る頃合いだと 霊魂たちが薄く消えていった
寒露 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 962.3
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2018-11-01
コメント日時 2018-11-20
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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技巧 | 0 | 0 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
sagiri ni otoko waku この響きが面白いと思いました。どのような情景かと読み進めると 〈青く均された露天湯に向かう友達〉渡り廊下などで宿から離れた風呂でしょうか。 急に具体的な景が立ち上がってきますね。 〈音だけが橋を渡ってきた〉この描写も面白い。 バイクが走っている、という認識を先に出して、その認識をもたらした聴覚を後から添える。 〈もうすぐで水たちは無事に夜番の努めを果たす〉ここは、なんだろう・・・ 出水?もうすぐで? もうすぐ 水たちは なのかな・・・水が夜番をしている、という発想も新鮮。 最後の一行も、ドキリとしますね。〈西の彼方〉は、彼岸の方向でもある。 青く沈んだ街並みが、目覚めていく時刻。朝霧が沸いて、その中に影が現れ、消えていく感覚。 生者も死者も、共に〈談話〉した夕べがあったのか。 早朝の朝露(霧?)の水気を体に沁み込ませながら、周囲の気配(生も死も混在しているような一瞬)に耳を澄ませている(肌で感じようとしている)かすかな緊張感が、引き締まった文体から伝わってきました。
0まりもさん、コメントありがとうございます。 もうすぐで、の部分は・・・あれは方言的な使い方だったりするんですかね・・・
0おはようございます。ちょうど夜の終わりと朝の訪れの様子が、視覚的にも聴覚的にも思い浮かぶようです。《朝日だ》がそれをより明確にするように働いていて、言葉にも光をあてているように思います。 《もうすぐで》って、日常語としてはたまに使うけど、あれれ?そういえば文章としては見かけないですね。
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