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時よ、たすけ────
夜空の果てには杏仁豆腐のようなお月さまが浮かんでいらっしゃる。傍若無人なヒトの波。うやうやと時は果てて、あどけないぼくらの日常が殺伐の外套を羽織るころ。ヒトビトは真夜中のスクランブル交差点をゆき狂い。狂うように降る雪と足並みの重さの果てに、果てしなき血まみれの過去を想像しながら夜空を見あげて嘆くのだ。 ────時よ、たすけて──── 生まれたことは永遠にきえない事実なんだ。ぼくは生まれたことで自殺しか自由にできない自分の姿に痛みと傷をかんじている。抉ぐるほど産まれてくる命をまえに大人たちは私生活をえぐりながら息をしている。 いつからだろう。どこまでもの生活という蓋のしたでぼくたちは、ぺちゃんこになるほどのセクスを好むしか息の仕方を知らなくなってしまうのは。 時こそ誠の夢なのだ。 ぼくらのいない未来には、いまという過去だけが遺跡のように残ってゆく。ぼくらのいない桃源郷。欲望の肉片が山ほどの喘ぎを喪って、白く淫らな風来坊の体裁となる日も近い。つまり、骨だよ。かたかたかた。 ────時よ、たすけ──── だけど、ぼくは想うのです。死の呪文は数字だと。愛らしき数字だと。数字のなれ果てが、ぼくらの未来の解法だと。ねぇ、そこまでいってみませんか。まさに死ぬ気でいってみませんか。 輪廻の果てには神さまがいる。ぼくは生まれたときから胸の鼓動のことを<おかあさん>と呼んでいる。実際の母とはじめてお会いするまえから、ぼくらは胸の鼓動により生かされている。 真実のぼくを知っていてくれるのは鼓動という数字だけなのさ。だから、だからね。ぼくは、いまこそはっきりといえるのだ、数字こそが神さまだとね。 もっと自由になるといい。 それから、自由などないと悟るといい。 命がけの祈りなら、すでにあなたはもっているよ。胸のなかを抱いてよ。自らの宇宙を顧みてよ。あなたはひとりぢゃない。生かされている、胸の鼓動により生かされている。 そういう風に孤独と向きあえるといいね。いうなれば、あなたの身体はひとつの宇宙船なのだ。細胞ひしめく未来へと向かいつづける<死>の宇宙船なのだ。 だからこそ、自分の命を大切にね。 お願いだよ。 生まれたことは、 永遠にきえない真実なんだ。 ねぇ、お願いだよ。
時よ、たすけ──── ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 972.7
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2018-10-24
コメント日時 2018-10-25
項目 | 全期間(2024/11/24現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
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構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
拝啓;B-REVIEWさんへ コメント外のことなので、以下の文章は無視していただいてもかまいません。ただし、どうしても書かざるを得ないことでした。すべてにおいて感謝しています。 ビーレビューさん。ふたたび詩を投稿させていただきました。ひととおりガイドラインへと目を通しましたが、以前のメールアドレスのパスワード等の紛失により、現在の名前での再開および投稿とさせていただきます。申しわけございません。なお、この場をお借りしまして、かつてのわたし、東川原いずみ、るびによる、すべての誤解と罪悪をきわめて謝罪いたします。どうか、これからもよろしくお願いいたします。 また、ビーレビューさん、ビーレビューさん関連の詩人さん、すべてのかたへと敬意を表します。今後ともコミュニティの一員として、ぜひ、レビュー等してゆきたい所存です。ありがとうございます。いま、わたしは、まさに感謝しています。 サヨルリ
0沙一さん やさしいお言葉、どうもありがとうございます。なんだか泪がでそうです。ずいぶんと憂うつな期間をのり越え、真実を見極めることを恐れないチカラがわたしのなかで芽生えました。わたし、詩がすきです。それだけは、この命をはって守りとおせる祈りだったのです。もう、なにも偽りません。 沙一さん、ありがとうございます。あなたに祈り、届きました。
0無教養で粗末な意見で申しわけないのですが、長いと感じました。短ければ私のような素人もファン層としてとりこめる気がします。プロから評価されつつ一般人にもウケれば、本が売れるような気がします。 いかにも「詩」という印象を受けました。サヨルリさんが書いた短くて明るい詩も読みたいと思いました。 私は谷川俊太郎や中原中也、最果タヒさんなどの作品を読んでもほとんど何も読み取ることができない人間ですので、あしからず。 おこがましいのですが、こんな私にも好きな表現があります。サヨルリさんの書いた詩も読みたいですので例を挙げます。堀辰雄の「x氏の手帳」のなかの「夜ひとりで部屋にいると僕はあんまり僕になりすぎる」それからサリンジャーの小説のなかに出てくる「僕を見ようと 人形の首を回した 飛行機の少女」という詩です。こういった短く、かつ「いい詩だな」と思える詩をみなさんやサヨルリさんに書いていただきたいです。
0オオサカダニケさん 正直なご感想、どうもありがとうございます。オオサカダニケさんのようなウラオモテのすくなそうな文章も、まっすぐな印象をお受けして、なかなか好みですね。 おすすめの小説家の作品なども、できうる限り拝読いたします。そうですね、堀辰雄でしたなら「萌ゆる頬」もどうでしょうか。あの作品もかなり詩的ですよ。サリンジャーはまだ一冊もよめておりません。今後ともよろしく、です。
0燃ゆる頬を読みました。何度もドキッとさせられる描写があり詩的な文章に彩られている短編なんですね。 私は3,4行の詩しか書けない程度の人間ですので時よ、たすけ―――のような構成のしっかりした長い詩を構築できる構成力と文章力に憧れます!
0オオサカダニケさん さきほど青空文庫アプリにて、堀辰雄「X氏の手帳」をお借りしました。主人公について、狂人というよりも高度な精神性のもち主のように思えてなりません。世間では生きづらさの囚人として認識されていながら、ゆめのような幻想を言葉にかえている────まさに、わたしたち、詩をかくものの姿のようでもあります。興味ぶかい作品でした。オオサカダニケさんの詩へ、後日、コメントを寄せたくおもいます。どうもありがとうございます。
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