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カーテンの向こう側
一週間 予定が切り取られ 治療のため 日常を畳んで さみしい服を着て 横になった 手の甲に小さな針が 滑り込む 薄桃色のカーテンで 仕切られた部屋では 言葉が転がって 看護師が 忙しなく拾い上げて 横たわる患者に そっと渡していく 夜になると あちこちから 助けを求める 声が 薄暗がりの中から 立ちのぼった 耳をすませば 幼い子の声に似て さみしさで カーテンがゆらめく 食べることだけが 楽しみになって あとは 過ぎていく時間を 数えることに 費やした 病の毒気が ゆっくり抜けていくのを 感じながら 窓ひとつ隔てられた 日常に手をのばす カーテンの向こう側で 話し声が聞こえる 若いころの話 今の要求 失った家族のこと 今の要求 日めくりのやさしさ 今の要求 こちらまで 話の続きをしてしまいそうな かわいた勢いが 押し寄せる 心が前に倒れそうになると ベッドのふちを掴んで 堪えた 泣き出す前に カーテンが開かれ 痛みとさみしさと 寝て起きるだけの 気楽さを畳んで 日常に頬ずりした
カーテンの向こう側 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1080.0
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2018-10-10
コメント日時 2018-10-13
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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可読性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
二連目が病院での患者と看護師たちのやり取りを巧みに表しているなぁ、と読ませていただきした。入院すると本当に様々な人たちと同室になりますし、ご高齢の方や病状が思わしくない方にも出会いますよね。その一人一人の人生が漏れ聴こえてくるのかな、と感じました。取り留めない感想ですが、胸にくるものがあり書かせていただきました。
0帆場蔵人さん はじめまして!コメントくださり、ありがとうございます!ご丁寧なご感想、とてもうれしく思いました。
0さみしさでカーテンがゆらめく、という表現がとても良いなと思いました。カーテンがなにかの拍子に揺れるだけでも、虚しさを感じる病人の気持ちに詩情を覚えました。リアルな情景と心情が浮かびました。
0ヤエさん こちらにもコメントくださり、ありがとうございます!細部までお読みくださり、汲み取ってくださって、とてもうれしく思いました。大きな励みになりました。
0七連目が 描写であるのと同時に 若いころの話(をすることが) 今の要求 失った家族のこと(を話すのが) 今の要求 日めくりのやさしさ(は) 今の要求 というふうにも感じて面白いなと思いました。
0ロ三さん はじめまして!コメントくださり、ありがとうございます。七連目の詠み方、詩の幅が広がりました。素晴らしいです!ありがとうございます。
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