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嵐の前の
ときどき こんなふうに 思い出したように雨が降るのは ベランダの隅で朝顔が 蔓を揺らしているからだ ランドセルの隊列に 蝉はすっかり道をあけ 色とりどりのモザイク模様が 朝に静かに光っている 柵から少し顔を覗かせて 行き場のない蔓を ぶらぶらさせて見送っては この乾ききった土の 隙間を埋めるひとを待っている (ご覧よ、天気図には ぐるぐると渦を巻く蔓がさ迷っている あれは彼の朝顔だ ひとの声がする方へ その顔を俯かせるから 悲しむひとがまたいるよ) あれは青い花だったが あんまり下を向いているから こんなに灰色に見えるのだ せめて花びらのひとつでも落とせたら 土産の勾玉に代わって 瑠璃のお守りを飾ってやるのに お役御免となってしまって 口をすぼめていじけている 倒れるものかと 挑発でもするように 蔓をぶらぶら揺らすから 風はヒュウヒュウ囃し立てる
嵐の前の ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1078.4
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2018-09-05
コメント日時 2018-09-14
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
朝顔ってなんだろう、と思いながら読んでました。何回読んでも分からないのですが、色んな意味が含まれているのかな、と。抽象的でしたが、ミステリアスで、好きな雰囲気です。楽しんで読ませていただきました!!
0引き込まれます。ただぼくの読解力が足りず、理解が及ばない。何処と無く倦んだ空気が漂っているとは思うのですが。天気図の朝顔、蔓と一、二連目の朝顔と蔓は同じなんだろうか。彼という朝顔が去って、やり場のない心が揺れているのかな。彼はまた違う場所で誰かを悲しませているのかもしれない、とひとりベランダで取り留めない気持ちを抱いて、外を眺めている。四連目が特に難しい。 最終連はそのまま強がなのか、決意なのか。自転車を押す坂道、からすっかりファンになってしまったようです。
0御二方とも、有難うございます。私はいまとても嬉しいです。読む人によってこんなにもとらえ方が変わるということ、そのような作品になったということに。 何よりも以外だったのが、拙作が抽象的と言っていただいたことです。そうだったのか...と驚いています。 せっかくなのでいまはあんまり言わないことにします。 なつめさん 楽しんで頂けて何よりです!本当に嬉しいです。自分の書いたものでひとを楽しませることが出来た、もう、本当にただただ嬉しいです!!有難うございます! 帆場蔵人さん なんと!もったいないお言葉です。有難うございます! これまでの投稿作で説明的と何度か指摘されていたので、なるべく排除するように心がけました。これもまた、私の日常のスケッチです。
0雨。ランドセルを背負って登校する小学生の列。この二つのファクターからこれほどの詩情を喚起する筆者にかなりの実力を感じる。天気図の朝顔などは、雨、ランドセルから類推に類推を経て抱いたイメージだろうがとても心地よく、面白い表現だ。最後の「風はヒュウヒュウと囃し立てる」まで、読み取るのが一見では難しい詩なのに、一気に読ませている。
0stereotype2085さん 有難うございます。今作を書きながら、詩を書くことにおいて、こういうことを考えているときが、いちばん楽しいなぁと再認識しました。これは私の観察日記です。新学期にちゃんと提出できて良かったです。
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