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銀河鉄道バステト号の夜
銀河鉄道だと思ったら ちくわだった 乗り込んでみると 中には座席や車窓があって 座席はすべて宮沢賢治で埋まっていた この車両だけかなと思って隣の車両に行ったが 同じだった 私は恐怖を感じて降りようとしたが 出口がどこにも見当たらない 車窓からは宇宙が見える 「すぐそこに見える星は琴座のベガです」と 傍にいた宮沢賢治が教えてくれた 「貴方はオルペウスの神話をご存知ですか?」 先ほどしゃべった宮沢賢治の横の賢治が聞いてきた 私は“知らない”と答えようとすると 車両(といってもちくわだが)が激しく揺れて止まった 『緊急事態発生 緊急事態発生 当列車はしばらく停車いたします』 と車内アナウンスが流れる これはただ事ではないと思った私は先頭にある機関車両まで走っていった 車内の宮沢賢治たちは誰一人として動揺していない みんな一応に黙ったまま真っ直ぐ前を見ている 先頭車両について驚いた 先頭車両にはボイラーや計器などは一切なくて 筒抜けだった そうただのちくわだった 車両を降りると 車掌の服を着た少女が しゃがみこんでいた (少女はどこかしら賢治に似ていた) 「どうしました?」 私は声をかけた 「はい・・・人身事故です。最近多いんですよ。流星やら恒星やらに交じってよく詩人が飛び込んでくるのです・・・」 少女は死んだ“それ”を優しくなでている 私にはそれが猫にしか見えなかった その猫の口からはか また新しい宇宙が流れででている
銀河鉄道バステト号の夜 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1210.4
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2018-09-02
コメント日時 2018-10-05
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
読みやすくて、不思議な世界観で面白かったです。なんでちくわなんだろう、なんで詩人なんだろう。不思議な世界ですね。
0最終連だけ良い
0シュールで高熱を出した時に見る夢のような面白味がありましたね。どこへ行っても賢治。左に行っても右に行っても賢治。少女の顔ですら賢治に似ているというのはまさに「うなされる夢」です。それがより詳細にはっきり視覚化出来るほどに描かれている。最終連の「また新しい宇宙が流れでている」に多世界宇宙という科学の観念を思い起こしました。また同時に詩書きの新しい世界が生まれることの比喩かも、とも感じました。
0拝見しました。 うむ。まず電車をちくわにしてしまう突飛な発想はやはり素直にいい部分だと思われますが、最も気になるのは「詩人」が恒星などに混じって車内に飛び込んでくる部分です。 思えば銀河鉄道の夜とは死に向かう列車を描いた作品であります。この作品はそのパロディではないという事は文脈からも明らかですが、それをモチーフとして詩を書かれているとは読み取れます。 思うに、詩人の世に放たれる詩の何倍も存在する、言わばボツ詩の最終列車の様なものをイメージ出来るのかと私は考えました。 その意味でもなくても、最終連は良いと思います。
0最終連、誤字ってますね。 なんだこの「か」。 イカに訂正いたします。 その猫の口からは また新しい宇宙が流れででている
0皆様感想ありがとうございます!
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