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ROUTE
バイパスの信号機は 矢印ばかりでいつも赤 こんな曇った空に青空を待ちながら アザミの種子は不自由なく飛んでいく そしてときおり 少し汗ばむわたしの肌に触ろうとする 気まぐれを やんわりと断って やり過ごすのは難しいことではない 野良猫が日向で寝そべっている 歩み寄れば にゃあんと鳴いて擦り寄る愛嬌を やんわりと断って 戦車みたいな自転車を今日もガタガタいわせ 汗をかきかき走る いい子いい子 信号無視をしない変わりに 躊躇いもなくボタンを押し 車を止めて横断するのは難しいことではない もうもうとエンジンをふかして クラクション鳴らすくらいなら 雲を震わせ雨でも降らせてみせて そしたら 少し泣いてもいい ダサいレインコートを真剣に選んで それでもどうしたって染み込んで 張り付いてくる無情さを知らないひとは 迂回路で矢印が出るまでおりこうにしてなさい いい子いい子 猫を撫でると 抜ける毛が覆いかぶさる わたしに相応しくない やわらかい毛 やんわりと断って 飛び出したい衝動を 綿毛になって 車とじゃれ合う妄想で 何度も殴打する バイパスを渡るわたしには青信号がある 背中に咲いていたアザミは白く 綿毛になってもう消えた
ROUTE ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1031.8
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2018-08-29
コメント日時 2018-09-01
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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エンタメ | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
〈やんわりと断って〉印象的なフレーズ。 青信号、になるのを、待つのか。いらいらとクラクションを鳴らす車たちを、ボタン一つで遮って、堂々と「渡る権利」を、行使するのか・・・ 人間関係、世渡りのメタファーとして作品を読みたい。アザミの種のように、軽やかに野山を渡って行けるなら、どんなにいいか、と思いつつ、それはかなわない願いだから・・・人慣れした野良猫のように、気ままに生きていく、ということも、出来ない相談、だから・・・。 無理やり流れを止めて、渡る、人が多いけれども、それを語り手は、したくない。〈難しいことではない〉、と言いつつ、しない。苛立ちながら迂回路を探す、ということもしない。青信号になるのを、待つ心。 〈クラクション鳴らすくらいなら/雲を震わせ雨でも降らせてみせて〉 怒りや苛立ちを叫びたてる側、に立つのか。雨を降らせる側、に立つのか。 〈ダサいレインコートを真剣に選んで それでもどうしたって染み込んで 張り付いてくる無情さを知らないひとは 迂回路で矢印が出るまでおりこうにしてなさい〉 降り注ぐ雨、それは、共に泣く、ということ、共に涙を流す、ということであるのかもしれない。 共に泣いたからといって、どうにもならないこと、はある。そのどうにもならない(何もしてあげられない、何もできない) 無情さを知らない人が、道を押し渡っていいのか・・・。 〈わたし〉は、待つ心を持っている。〈青信号〉になるまで、待つ心。はりついてくる雨の冷たさを知る人、であるから、なおさら、青空が待ち遠しい。曇り空の赤信号のイメージが、青空を飛ぶ綿毛のイメージに変容していくところ、猫のイメージがちらほらと現れては消えるところなど、映像的な余韻も残る作品でした。
0まりもさん 世渡りって難しいです。私は結構流されやすいタイプでもありますし、郷に入っては郷に従え、だったり、長い物には巻かれろ、というタイプなのだと思います。でも、そうあればラクだろうと思うからで決して心の底からそう思っているわけでもないんですよね。それを口に出せないのは、私なりの考えが曖昧だったり自信の無さ故にだと思います。アザミの種子だって、風に吹かれるままに飛んでいるけど、子孫を残す、という確かな理由がある。ただ流されているだけでは無いのですよね。 人生相談みたいなレスで申し訳ないです。これから先の人生で、何か一つでもそういう譲れない思い、のような物を見つけたいな、と思います。 有難うございます!
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