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シワン月の六日
シワン月の六日 白い…白い…… 白い羽が散る 散る 散る ぱらぱら ぱらぱら って 輝く月の中を 滑り落ちる小さな影 美しい天使が風を舞い上げながら 空を滑り落ちる 天使は 追いかけて来た無数の矢とともに 腐ったりんごみたいに 鈍い音させて落ちる その時 軟らかい砂がどしりと受け止めた たえず寄せる波が 匂うような髪を洗っていた 私は恐れに満ちた視線を天使の上にさまよわせた 翼は折れ 羽は真っ赤に濡れていた 静かに抱き起こすと 火照った肩の重さによろめいた 鮮やかな血が指を染めた 群青色の夜空から 二人の上に黒い雨が降り注いだ 青い高波が島影を覆い隠した― 私の銀の管が奏でる子守唄 夜の安らぎのもと けが人は眠っている ―天使はすっかり回復し 明るい夏の朝にふと目覚めた 尖らせたエンピツを握ったまま 机に伏せている私を叩いた 寝顔を覗き見されたわたしは頬を紅く染めはにかんだ ―刻々と迫る 世界の三分の二の消滅― つり眼が可愛い丸顔をのめり出し サクサクと赤りんごに歯を立てながら 朱色の鞘から 金色に光る剣をとうとつに抜いた バビロン製の特注品で「サンヒドリンのマカイラ」っていう魔剣らしい…… お礼に謹呈したいって言われた 一度断ると 左手に強引に握らされた だから世界の三分の二が消滅した 貰うなら他のが良かった けど今はもう ここは闇黒面 あれもいらない これもいらない すべて消したいって ちょっと思っただけだったのに それなら すべての戦闘機の窓ガラスをまっ黒くしたり RPGを持ってる世界中の人間を ヒマワリの種に変えればよかった ブックサゆうな って天使が叫んだ 突破事なんだしかたがない って耳たぶを抓られた 天国大学では悪魔学専攻だったらしい 下品でバタ臭いから 聖書なんか破れって言われた 命令どおり 使途行伝 七ノ五一ー五三で折ったカミヒコーキを崖から飛ばした あたしはいま 夢の中の夢乃ちゃん状態だ ヘルコントローラーをソイツに握られてる 奪われた命はどうなった あれから何年たった ……何を言っても聞いてくれやしない 天使はモタモタしてはナマけている ピカソの絵は全て燃やされた そして クロ・ド・ラ・ロシュ ていうブルゴーニュのワインに悪酔いして そのはずみに襲われた 思ってたんと違う 押さえつけられた私の頭に ベットのバネの軋みがギイギイ突き刺さる もし映画だったら 主演女優賞に違いない 金ぴかのオスカー自分にあげたい 全ての罪と責任を着せられ あっと言う間に刑台に連行された 大天使が斬首刀を抜いた あの惰天使はどこかへ高飛びしたらしい 私が治したまっ白い翼で 斜に刃が流れ 首が―
シワン月の六日 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1012.5
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2018-08-29
コメント日時 2018-08-31
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
良いなぁ、良いなぁ こんな詩を書いてみたいなぁ 違うのならあれです 申し訳ない 文面に出てる通り もう二つの詩もそうですけど RPGの世界 ファイナルファンタジーとかドラクエとか 苦手なジャンルなんでまともにやったこと無いですが そんなスペクタクルを感じるのです 私なりにここのサイトの詩を読んできて なつり、はし様だけの出してる 個性だと思います とても素敵です
0前半は幻想の世界と思って読んでいたのですが、中盤からリアル世界に移り変わっていく感覚がありました。 〈一度断ると 左手に強引に握らされた だから世界の三分の二が消滅した〉助けたはずの手負いの天使、彼?彼女?が元気になって・・・天使に〈強引に〉握らされた魔剣を手にした、〈だから~消滅した〉この流れは、なかなかにコワイ。ファンタジーアニメのような夢想、と表面的に読んでもよいけれど、心に傷を負った人と巡り合い、その人の虜になって、こんどは自分の世界、が侵食されていく・・・そんな関係性の変化が描かれている、と読みたくなりました。
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