夏の骨 - B-REVIEW
新規登録
ログイン
PICK UP - REVIEW

ことば

ことばという幻想

純粋な疑問が織りなす美しさ。答えを探す途中に見た景色。

花骸

大人用おむつの中で

すごい

これ好きです 世界はどう終わっていくのだろうという現代の不安感を感じます。



作品を
別枠表示

夏の骨    

しなない程度に眠りたいと、いつも思う。眠りのなかで、えんえんと欠伸してゆく夢ごこち。珊瑚礁の海へと浮かぶ蒙古斑のような島々が母の脳内でぐるぐる回り、軽い眩暈とすこしの後悔のあとに僕はソゥっと誕生した。見事なまでの蒙古斑をおしりの上に宿らせて。 ────僕のことをきみは知らない。きみのことをハイエナたちは知っている。だから、僕はきみを守りたく想った。 いぢめ、サバンナ、自殺未遂。 あの日、泣いていたミゾレちゃん。クラスメイトのザラさんに呼びだされて屋上から卵を産みおとすよう命じられ、パンツのなかに卵をいれて登校してきたミゾレちゃん。からかい上手のザラさんの子分たちにお腹を蹴られ、まっ黄色く染まってゆくシャツ。ミゾレちゃん、いつもえぐえぐ泣いていた。 子宮のおおきさは? 「卵くらい」 保健体育の授業で、わる知恵をつけるなんて、ザラさん、無理にいかれたひとだ。ザラさんの子分たちに押さえつけられ、下半身を裸にさせられたミゾレちゃん。ちいさな膨らみに卵を当てられても、産めない、濡れない、入らない。ミゾレちゃんのおしりの上の蒙古斑をみて、ザラさんはさらにワラった。 ザラさんはミゾレちゃんの透き間のまえで卵をふたつ割ってから、お腹の上をぺたぺたさわりはじめた。横になったミゾレちゃんの胸の部分に黄身をおき、人差し指でかるくふれる。弾力で跳ねかえされる指。ザラさんがしばらく黄身をぷにぷにぷにぷにしていたら、もうやめて、とミゾレちゃんは切なく訴えた。それでも、ぷにぷにしてしまう。ミゾレちゃんの乳首の上で黄身がくにゃりと割れた頃、ミゾレちゃんは、あゝと喘いだ。 ────わたしのことをきみは知らない。きみのことをハイエナたちは知っている。 夏、ミゾレちゃんが謎の言葉を残して転校した。ザラさんはスーパーマーケットへゆくたびに卵を買うようになった。生卵を食べながら、ミゾレちゃんのちいさな膨らみを思いだす。 おんなの子同士のこころの透き間を埋めるには、身体からすこし離れたところで欠伸するしかないのだよ。 「ㅤつまんないんだよ!ㅤ」 ザラさんはひとり呟く。欠伸しながら、ごぞごぞと下着を脱いで痺れるようにいってしまった。 目が覚める。 ぼくはいつでも、 おんなの子を守れない。 ────わたしのことをきみは知らない。きみのことをハイエナたちは知っている。 とおい世界のいぢめとサバンナ、 ミゾレちゃんの自殺未遂。 抗議します。 世間からゆわれるまま、 無視する家族と先生に。 ぼくとわたしの淡いに咲く、 ひまわりのような眼差しで。 ( みつめないで──── ( おかさないで──── ( ころさないで──── 知っているふり知らないふり、 ぼくたちがころされるまで、 いぢめと一緒に待っちゃダメ。 いぢめられるほうが悪いだなんて、 ねぇ。誰がいったの? きみがいった。あの子がいった。 ぼくがいった。わたしがいった。 先生がいった。親がいった。 世間がいった。 + 先生みたいにならないわ。 親なんかにもならないわ。 子ども産んだりしたくないわ。 かくれんぼするなら、 大人の皮を剥がしてからにして頂戴。 いぢめ、あくまで、かっこ悪い。 ────ダメ、ゼッタイ。


夏の骨 ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 5
P V 数 : 1193.9
お気に入り数: 0
投票数   : 0
ポイント数 : 0

作成日時 2018-07-30
コメント日時 2018-08-06
#受賞作
項目全期間(2025/04/13現在)投稿後10日間
叙情性00
前衛性00
可読性00
エンタメ00
技巧00
音韻00
構成00
総合ポイント00
 平均値  中央値 
叙情性00
前衛性00
可読性00
 エンタメ00
技巧00
音韻00
構成00
総合00
閲覧指数:1193.9
2025/04/13 01時18分28秒現在
※ポイントを入れるにはログインが必要です
※自作品にはポイントを入れられません。

    作品に書かれた推薦文

夏の骨 コメントセクション

コメント数(5)
幼ヰるび
(2018-07-30)

ジェンダーについての詩、ずっと書いています。男女問わず。しかし、月末に連日投稿って、いかがなものでしょうか。ガイドラインは読みました。一週間ほど、間隔をあけるべきでしょうか。ンー、……(作品と関係のない戯言、申し訳ございません)

0
幼ヰるび
(2018-07-31)

花緒さま お世話になります。ようやく、いま、落ちついて創作に取りくむことができています。この場所のガイドラインを尊重しつつ、日々の創作の面では、ややはみだすくらいの勢いで、自らの内面をみつめ続けていたく思います。いつも、ありがとうございます。

0
エイクピア
(2018-07-31)

「私の風の又三郎」の方がいいと思いましたが、あまり同作者の作品同志の比較はよくないのかもしれません。内容的な部分から来る忌避感だったのかもしれません。別に宮沢賢治だからいいと言う判断でもなかったと思うのですが、この作品で、印象的だったのは、いじめ的コンテクストがメインなのでしょうが、やはり私的にはサバンナに対する言及でした。サバンナ症候群に興味を持ったことがあったからです。多分、アフリカ的な意味合い、自然環境から視力5.0とか平均で、中には13.いくつ見たいな人も居たりして、そう言う所が詩的感興を呼ぶと思うのです。

0
るるりら
(2018-08-03)

この詩のなにが 凄いかってね。 ドラマ作品にできそうだと感じさせてるだけの構成だと思います。 あと、題名を思わせる語が わたしには見当たらず。骨っていうけど、だれも死んでなくはないかと 首を傾げました。

0
カオティクルConverge!!貴音さん
(2018-08-06)

物語でもあり、詩でもあり 頭の悪い私が、自分勝手な結論を付けるまで何度でも読みたくなるような詩 もう、来ないのかな もっとみたいなって思いました

0

B-REVIEWに参加しよう!

新規登録
ログイン

作品をSNSで紹介しよう→

投稿作品数: 1