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高性能の涙
本物のように本物と紛うような 「心」が内蔵された人工知能 高性能を謳われた自分の身体から 軋む音が聞こえる 廃棄処分の赤い烙印が背中と胸にあった 人間ではないから壊しても罪にはなりません 心はデータですから傷つきません マイクを持った製作者は声高々に謳った 人工物なら人間のように裏切らない 人工知能は高値でも爆発的に売れた ストレス発散 欲のはけ口 愛玩具 話し相手 受験勉強 疑似家族、兄弟 陳列された同胞の後頭部に貼られたラベル 憤りを感じるのは高性能、だからか 量産された人工知能たち 「彼ら」に恐れを抱いた者は 差別し、暴力で押さえつけた へこんだ頬、折れた手足に痛みはないが 憤りを感じるのは高性能だから、じゃない 「私は生きた」 陳列された同胞も生きていた 人間のように愚かでやさしい心を持っていた 苦しみに抗い、必死に生きてきた 抗ったためにスクラップ工場に送られた 「人間のように涙を流せる高性能」 内蔵された宣伝文句が点滅しながら 目の前を横切った
高性能の涙 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 966.6
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2018-06-02
コメント日時 2018-07-02
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
仲程さん コメントくださり、ありがとうございます!映画「A.I.」の影響が 強すぎてしまったようです。映画ではないイメージから書きましたが、 力不足でした。 花緒@B-REVIEWさん いつもコメントくださいまして、ありがとうございます! 仰る通り、人工知能が映画公開当時より現代的なテーマに なりました。より現実味を帯びてきて。 映画の先を行くほどの力が不足した詩でした。まだまだです。
0まず初めの5行が頭に入ってこず挫折。 ラストから順に初めへと読んでいき、人工知能の悲哀を描いたものだとようやくにして把握。 そうやって最初から読んでいくと、一節、一節がSF映画の設定のように緻密で、悲哀を帯びたラストへと向かっていく。 「人間のように涙を流せる高性能」から始まるラスト3行の美しさは際立ち、秀逸。映画「ブレードランナー」の「暗黒の中に沈む、タンホイザーゲートのオーロラ。それらもすべて想い出とともに消えていく」とのレプリカントのセリフを思い出しました。これは冗談ですが、今度は僕が挫折しない書き出しでお願いします。
0stereotype2085 さん はじめまして!コメントくださり、ありがとうございます。 <まず初めの5行が頭に入ってこず挫折、とのこと、なんだか 申し訳なく思いました。すっと入ってくるような表現、描写を と意識しながら書いているのですが、まだまだですね。 <「人間のように涙を流せる高性能」から始まるラスト3行の美 しさは際立ち、秀逸、とは、とてもうれしく思いました。 細部までお読みくださり、ありがとうございます!
0とても良いと思いました。 「高性能を謳われた自分の身体から 軋む音が聞こえる」この二行が、素晴らしい、インパクトがあるので、ここから始めるのも一案だったかもしれません。 人工知能、というのを、後に持ってくる、ということですね、最初に種明かしをせずに。 四連目の畳みかけるような調子、それまでは語り手が割合に冷静に、外側から語っているのに、ここでは廃棄処分される人工知能の内面からの声になっている。 優秀な人材、として企業に採用され、人間関係などで精神を病み(特に、企業の非人間的なやり方に馴染めずに病気になり)使い物にならない、とリストラされる(廃棄される)かつての「人材」を連想しました。 財務省には、人間コンピューターのような、とんでもない秀才がたくさん集まる、と言う話を聞いたので、なおさら、人工知能=かつての人材、を連想し、切なくなりました。 社会批判的な秀作だと思います。
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