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選評
私は春虫 (地球さん) http://breview.main.jp/keijiban/?id=1659 文章には絵と同じように構図があるのだ、と、この作品を読んで改めてそのように感じた。それぞれの言葉のベクトルが一つのキャンバスのなかで絶妙な均衡を持って初めて、作品は読者を惹きつけ続けるに足る引力を持つ。構図が完璧な絵画からはたとえそれが抽象画であっても目を離すことができない。「私は春虫」はそういう意味で「構図」が絶妙なのだ。あるいは音楽にたとえてもいいのかもしれない。リズムの緩急、旋律の抑揚、強弱と休止。どれかが間抜けだと全体が間抜けになってしまう。「私は春虫」はそういう意味で隙があまりない。言葉は意味を持つ。だからこそ、言葉は書かれたその時にそれぞれが独特の質量とベクトルをもって動きを始める。その一つ一つに作者は意識的にせよ、無意識にせよ、非常に敏感なのだ、と感じた。が、全体の印象がいまいち薄いのが残念。もう少し色彩にコントラストがあってもよいのかもしれないと思った。
選評 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 968.6
お気に入り数: 0
投票数 : 0
作成日時 2018-05-01
コメント日時 2018-05-02