別枠表示
火花
つめたい水が 火照る喉をすべりおりる 静かに沈んでいく かたわらの人の寝息 月光に手足を濡らしたまま 冷めやらぬ芯のふるえを 反芻している 呼び寄せられる記憶 みごもって数か月 突然 横隔膜にしわを寄せて暴れるわがこ であるはずの何かに 語りかけ なでさすり 温める手に応えてのばされる 一本の足 おなかの内側をこすり つきあげる足先が 虚空を蹴る あっと目をとじたそのとき 青く点滅し 消えていく火花 意識がふっと軽くなる 身の内の体 身の内の心 おまえのいる闇は心地よいか 手に応えるいのちにひきこまれて くらさにおちこみ 羽毛のように軽く 内にあるのか外にあるのかわからない 柔らかな闇を浮遊しながら 抱きしめる腕に力をこめる あのときの 火花 肩の骨 肩甲骨 寝入るあなたの背に 指をすべらせながら 青い火花の消えていくまぎわの 時の隙間に溶けていく一瞬 くりかえし くりかえす 青い 生滅
火花 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 847.1
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 6
作成日時 2018-03-28
コメント日時 2018-04-03
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 2 | 2 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 2 | 2 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 2 | 2 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 6 | 6 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 2 | 2 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 2 | 2 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 2 | 2 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 6 | 6 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
しずかな呼吸を意識しながら拝読させていただきました。 まりも さんはこれまでも お母様としてのご経験から詩をこちらのサイトにも投稿しておられますが、私の場合は この詩と 私の拙詩に 乳飲み子を想う母としての書き込みをくださったときに はじめて 哺乳類の母共通の感覚を共有していると感じました。 そして、この詩を拝読して、 詩の批評家でもビーレビの主要人物でもなく、一人のたおやかな女性として ほんとうの意味の まりもさんが、一読者の私の前に現れてくださったと感じています。 失礼ながら まりもさんのサイト以外での詩のキャリアとかに 今 はじめて興味を持たせていただきました。自己紹介に使用されている画像の詩集の帯に 目が止まったのも 実は今が初めてです。 素の自身として詩と向き合うことを 学ばさせていただきけました。ありがとうございます。
0子を身籠る、生を授かる、その体験を言語化することって神秘的なことでありながらも、肉体的で現実的なこと。これを火花とされるところが、やっぱまりもさんって上手いと思いましたよ。なんというか、詩書きの学びとしてでなくて、感性のところで面白い発見をする感じですよ。まりもさんの作品を読むのって。なんだろうか、最近「マンチェスターバイザシー」という、大きな悲しみと笑いが同居したような妙な感じの映画を観たんですけど、それに似たものをまりもさんの感性に感じるんですよね。とてもシリアスなことを真剣な眼差しで考えながら、でも笑ってるしみんなも笑えよ、みたいな。なんかコメント書きながら、これ、伝わんねーよって思いながらも消さずに書込みますが、つまり、火花って少し危険なイメージがあると思うんですよね、一般的に。その危険なものを身籠った身体の状況のなかに持ってくるって、かなりアンバランスな話な気がするんです。それを平気でやってのける、まりもさんってやっぱ、タフですよ。それを私的な言い方をすると「私も笑ってんだからみんなも笑えよ、神秘とか言わなくていいから」みたいな感想になる。このコメントで私が言いたいことの気持ち伝わりました?(笑)
0るるりらさん ありがとうございます。なんというか、詩を書く、ということに、すごく気負いとか恥ずかしさとかがあって・・・それで、起承転結とか、対句がどうとか、そういう「型」に寄っていってしまう、ということなのかな、と思います。詩評(というか、この詩、こんなところが素敵、と思うんだけど、あなたはどう?みたいな感じ)をやりたかったのですが、その為には詩人にならなければいけない、みたいな流れがあって、必死に勉強した、という・・・ようやく今、自分のやりたいことが、少しずつ出来るようになってきたのかなと思っています。(詩集のドングリは、私が子供たちと一緒に拾って、葉書絵に描いた絵です
0