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反転する蒼い朝には死体しかいない
蒼に殉ずる季節の残り香 ベッドの下の彼女が残した包丁 グラスに残されたままのビールの老い テーブルに突き刺さったアーミーナイフ テーブルクロスを丁寧に焦がす朝 フレンチトーストで形成された死体 フレンチ・キスで淫らに映る 暗い日曜日のラストシーン 僕らは忘れてしまう 記憶も夢も何もかも 僕らは失ってしまう 色と言葉と心を ドロップが溶けたことに 錠剤が液状化したことに気づけない私が 雨に濡れる淑女の靴から 目を逸らすことが出来るだろうか 葬列の背後、仮面の四つ足、引き摺られる凧 今は1月じゃないから 今は1月じゃないから 今は1月じゃないから そう呟き続ける少女は 青い目のタキシードと共に失踪者扱いだ ねえ、けれどどうして、 パンではなく人が首を吊っているのかな 僕は僕に問いかけるけれど 僕は何も答えることができない バトンをダイナマイトに変えたのは 国旗が連なるのを憎悪する君達 運動場で少女達が殴打していたのは 西瓜が8個とメロンが二個だった ジュークボックスに空いたSWの弾痕 ジュースミキサーに肉を投げ込む背徳感 空が藍から愛を奪取し 今日もミサイルの応酬が繰り広げられる 飛行機雲も刹那に消えて 太陽は無慈悲に廻り始める 灼熱の円卓 両隣りの焼死体 ――僕はナイフでしか食事をしたことがないから柱時計が左回りに、雲が左に流れているから!エルパソの太陽が沈まないから!淫らな死の運命からは逃げられないから! そう叫び続けた明朝、遠くのサイレンがすこしばかり近くなったような気がした。
反転する蒼い朝には死体しかいない ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 844.2
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2018-03-09
コメント日時 2018-04-05
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
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構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
いいねえ。過去現在未来。いまが三次元の空間ならば予測は不可能だが、実はすべてが影響を及ぼし合っているという基本原理の構造。パラドクスを意識すれば何もかもが現実には起こり得る可能性がある。そしてわたしたちの脳の力では決して知覚はできない。それは想像で興すしかないんだ。
0灰色さん毎度投稿ありがとうございます。もしかしたら、灰色さんの作品への私のコメントは毎回、作者のスタイルについて踏み込んだ内容になっており、灰色さんがもしや不快になられていたらと少々不安に思いながら、コメントしないで通り過ぎることも多々あったりすることを白状します。で、灰色さん、今回も、十代から私が馴染んできましたロッキングオンのスタイルでアーティストの内なるところへ踏み込ませてもらうコメントを書きたいと思います。 北村灰色さんの作品に出会ってからずっと持ち続けていることが私にはある。それはマンネリについて。作品を読む方にすれば、灰色さんの作風は、変わらない。古き良き所謂、ロックな言語と物語をキープしている。一度たりとも変えていない。少なくとも投稿作品は。それはなぜなのだろうかと。そのことがいつも読む時にある。本作で僕は結論に達した。北村灰色さんは変えるどころか、変えないようにしているのだ。 僕らは忘れてしまう 記憶も夢も何もかも 僕らは失ってしまう 色と言葉と心を 失って忘れてしまうのであるならば、変わらないと決めている灰色さんが伺える。 灰色さんは変わらないことを終わらせないようにしている。ブルースのコードが時代が変われども永遠に受け継がれていくみたいに。 以前の作品で私は、「灰色さんとは終われない世界観だ」とコメントした。それについて灰色さんはこう答えた。 『(終われない世界観)、ご指摘の通り、その感覚が自分の創作、特にネット詩に於いて表出していると思います。』 つまり、北村灰色さんこそがネット詩に一番マッチしている作者なのだと僕は結論した。 遠くのサイレンがすこしばかり近くなったような気がした。 ネット詩へ埋もれるほどに、実感から遠のく。それは、詩情を感じることが「気がした」という気のせいぐらいに薄い感覚である。 次回作も僕はきっと読むだろう。終われない世界観はやみつきなんだ。ネット詩みたいに。
0アラメルモさん コメントありがとうございます。 パラドックス的な思考や視点、あと時間や空間、世界をも自由自在に歪めてトばして描くことが出来るのが、文章というか詩や散文による表現の良い所だし、とても惹かれています。 自らの想像を想像通りにダイレクトに表現できるというか。
0三浦さん コメントありがとうございます。 そうですね、読み手からすると大体いつも同じような文体、同じような世界観、同じような語句を使っていると思うでしょうし、自分でもそうは思います。だから常に誰からも評価されないのでしょうけれど。 ただ、変えてもいいし、そういう作品を投稿するなりなんなりしても良いのに、そうはしないのは、心の隅の隅の隅辺りで自分の作風に執着?があるからなのかなとは思います。
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