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PICK UP - REVIEW

ことば

ことばという幻想

純粋な疑問が織りなす美しさ。答えを探す途中に見た景色。

花骸

大人用おむつの中で

すごい

これ好きです 世界はどう終わっていくのだろうという現代の不安感を感じます。



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haru    

    ささやきを おとなしくさせて コーヒーカップのように静か暮らしてる、 パワーや 霊性は そこらに散漫して、 春の庭先は穏やかです、 とまるで サナトリウムからの 手紙のような詩を書く こころは割れてしまっている。 楽しいことの余韻が さめないうちに出掛けよう 瓶ビールを 川辺に冷やしにいこう 飲めないけれど、 楽しいから御金を払おう と そう考えたあとに 必ず溜息をついている 薪ストーヴ 火はついていない 火にゆるされることはできない 腹に手をあててみると 病が沈殿している 胃袋はくすりで犯された 多分ね スコール 彷徨う足取りは深く 一歩 一歩 溜息をつく 雪山山間のきれいな川に これもきれいだが こころない魚たちが泳いでゆく 林の 木と木の間に朝の月は在って 座していると聞こえる こころない魚たちの唄、 突き動かされて しかし何かに呼び戻されて 歩道に立ちすくみ ついに瓶ビールを買いにいけない、 ふと 梅の花が咲いている ひかりを受けてその枝先までの醜さを 反転、 させてうつくしい。 香を嗅ぐ。 目に映る草木すべての 帰するところが 観えたような気もして からが、 春だ と こころない魚たちは こころ捨てたことにより自由であるなら わたくしは不自由で宜しい 確かに地に脚は着いて 車の走行音に目覚める、 痛みを持って 生を確認する 春だ!  


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作品データ

コメント数 : 2
P V 数 : 814.7
お気に入り数: 0
投票数   : 0
ポイント数 : 0

作成日時 2018-03-06
コメント日時 2018-03-06
項目全期間(2025/04/16現在)投稿後10日間
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閲覧指数:814.7
2025/04/16 21時26分41秒現在
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    作品に書かれた推薦文

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コメント数(2)
日下ゆうみ
(2018-03-06)

語り手はこの詩の冒頭から、例えば既に静かであるはずの「ささやきを/おとなしくさせて」いたり、カチャカチャ鳴りうるはずの「コーヒーカップのように静か暮らして」いたりするなど、感覚にいささかの混乱を生じさせているように見えます。また、「こころは割れてしまっている」と述べながらもその記述はそれほど動揺がなく、むしろその事態を遠くから冷静に見ているようで、語り手は自身の感覚との齟齬をきたしているようです。恐らくそれというのも、「出掛けよう」「冷やしにいこう」「御金を払おう」と来たるべき春に対して意欲を見せながら、しかし「そう考えたあとに/必ず溜息をついている」と意気消沈してもいるというように、語り手自身のうちに相反する気持ちがあるからなのでしょう。それ故に「雪山山間のきれいな川に」といったように景色の中に視線を泳がせつつ、しかしそれに対して多くを述べる前に次々と別の景色へと移ろってしまうのだろうと思いました。「こころない」といわれているのは「魚たち」ではなく次々と景色の中を「泳いでゆく」私の目線なのではないでしょうか。 そして最終的に語り手は地に着いている脚と痛みという現地点における感覚をもって現在地点に戻ってくるわけですが、しかし逆に言えば現在地点にあるのはその2本の脚と痛みの感覚だけに過ぎないということであり、それを語り手が「生」と呼ぼうとしていても、そこには春としての生の目覚めのような何かが特別に存在しているわけではありません。そこで、しかし語り手はその感覚を持って「春だ!」と叫ぶのであり、むしろ語り手は現在の困惑において春という安定を早急に呼び覚まそうとしているように思われました。もしかしたら景色の中で矢継ぎ早に視線を動かしている(川や月などの一つ一つの対象からすぐに目線を動かしてしまう)のも、そうした春の感覚を早急に呼び起こそうとしているからなのかもしれません。 私としては、もし語り手が春の感覚を呼び覚まそうとしているのであれば、むしろそのような焦燥感に駆られずに景色の中にある春の感覚をより深く辿っていくこともあり得たのではないかというように思いました。しかし、却って景色の中にそのような春の感覚が見つからないからこそ、語り手は「こころは割れてしまって」おり「歩道に立ちすく」んでしまっているのかもしれないとも思います。

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李沙英
(2018-03-06)

こんばんは、よろしくおねがいします。 「春だ」で締めくくられていて そこで振り返ると綴られてきた詩の中でやはり最後の一文が一番のキーパーソンであり またパンチが効いていてここでの総括のようにも感じました 全体を通して憂いと高揚感のバランス、濃淡もしっかりしていて どこを取っても申し分のない男前な春の歌であり 好む詩でもありますのでひいき目です。

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