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敗者
男は負け続けていた 他人に己に人生に だから最近生きることに無気力だった 男は負け続けの人生にうんざりしていた だからといって今さらどうすればいいのだろう いったい誰に何に勝てばいいのだろう 男の眼は淀み口はだらしなく開き身体は弛緩するばかりだった 男は詩を書くことや読むことは好きだった もしかしたら詩の世界では勝者になれるかもしれないという わずかな望みを持っていた ほんのわずかだった そもそも詩の勝者とは何なのか 詩集を出してそれが売れることだろうか そのためには人の心をゆさぶるような感激や感慨深さを与えれる詩を書かねばなるまい それも自信がなかった 今書いている詩などはほぼ筆者の負け口上である こんなものを呼んで感動する人間がいるわけがない それでも男は書くのであった 単なる自己満足であれ結局書くことでしか得られないのだ そう男が得たいのはある種の満足感といえた マラソンランナーが走り終えたあとのような 画家が絵を描き終えたあとのような 同じように作家が作品を書き終えた後のような充足感が欲しかった そのためにはただの独白だろうが駄作だろうが書くしかなかった そしてできれば感動まではいかなくても共感してくれる人間が欲しかった 自分と同じようなアマチュアの作家ならば共感してくれるところがあるのではないかと男は考えた 男は仲間が欲しかった同じ詩人として共に詩作に励む仲間が欲しかった こうして心の内面を描くことに果たしてどれほどの意味があるのかを聞いてみたかった ただの愚痴であるのか芸術性はそこにはないのか 芸術性のある詩を書きたかったがその術がよくわからなかった それでも男は描き続ける 自分なりに精一杯の意志を込めて一遍の詩を書き続けるのだ それが男の日々の糧になるようにとの願いを込めて
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敗者 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 215.2
お気に入り数: 0
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2025-01-20
コメント日時 2025-01-20
項目 | 全期間(2025/01/23現在) |
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叙情性 | 0 |
前衛性 | 0 |
可読性 | 0 |
エンタメ | 0 |
技巧 | 0 |
音韻 | 0 |
構成 | 0 |
総合ポイント | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
考え続ける男のような、思索活動に耽る系の主人公をコンセプトに連続した物語を書かれておりますね。 その先になにがあるかまだ見えませんが、恐らくは作者自身がその物語の只中にいると言うようなことなのだろうと。 このような心境に感情移入し、共感する思いは私にもあります。 個人的には物事のアレンジとしてその先に行きたいと思いつつ、これがその手前の内容なのかも判然としません。この内容全般に溢れるそこはかとないユーモア、一歩間違えばおふざけ寸前の内容は中々美味しい。この内容で書き進めてみると面白いかもと思いました。
0とてもいいと思う。 Bluesから神話 (と言えば大袈裟なだけ。 かも知れないが…) 私のバックグラウンドと引っ掛かる。 うむ。
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