踊り子 - B-REVIEW
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ことば

ことばという幻想

純粋な疑問が織りなす美しさ。答えを探す途中に見た景色。

花骸

大人用おむつの中で

すごい

これ好きです 世界はどう終わっていくのだろうという現代の不安感を感じます。



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踊り子    

最近の ニュース速報には 大体の場合 キャベツとかは含まれない それを知っていて 動物園の動物が可哀想だと言う山田くんのこと あたしは嫌い ハンブルグに行った友人に おいしかったものを訊いた 柘榴と答えられたので びっくりして わたしはそれまでいた農園を 去ってしまった 抜け落ちていく歯 春の歯医者では すでに抜け落ちた歯の  治療は 行われないけれど 保険適用でなければ 可能性はあり しまうまの毛(白いのと黒いの両方)を 引きちぎることなく収穫することが絶対だ と不動産屋は言った あたしは違うと言った そのうち その不動産屋と取っ組み合いになり 脳は潰され 手のひらには果実が溢れた 果実からはちいさな かなしい音がした 締め付けられるような わたしは その果実を 今も持っている 持っているぶんにはきれいでいいが どこかへ置いていってしまいたいのだと 泣く夜もある とても子どものような日には 友達を呼び 花畑のなかで紅茶を飲むのだ その花畑では どこかの踊り子が スカートを揺らせて ふっくらと夜を越える



踊り子 ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 4
P V 数 : 600.4
お気に入り数: 1
投票数   : 3
ポイント数 : 0

作成日時 2025-01-07
コメント日時 2025-01-21
#現代詩 #縦書き
項目全期間(2025/04/13現在)投稿後10日間
叙情性00
前衛性00
可読性00
エンタメ00
技巧00
音韻00
構成00
総合ポイント00
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叙情性00
前衛性00
可読性00
 エンタメ00
技巧00
音韻00
構成00
総合00
閲覧指数:600.4
2025/04/13 20時33分34秒現在
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    作品に書かれた推薦文

踊り子 コメントセクション

コメント数(4)
A・O・I
作品へ
(2025-01-07)

この詩は果実と踊り子をどう受取りなにを示すのか、なのですが。果実は喪失や後悔、痛みの象徴。踊り子は自己投影であると考えました。最終連だけでだいぶ見えてしまう形を、感情的なあたし/理性的なわたし、とかきわけつつ、感情の複雑さ、のりこえ方を内と外から描いているように思えました。全面で散らしかき消すようにノセられる,この言葉選びのセンスがとても良く、コトバから発芽したイメージをどう重ね躍らせるか。連ごとに投下したイメージがだいぶ踊っているように思え、とても面白く読みました。いいですね、こういった詩はとても好物です。ポイント五倍つけたい。拍手。一票

1
1.5A
作品へ
(2025-01-08)

この作品を読んで初めに思い浮かんだのは、しんたにさんの『冬の日曜日』でした。一応アドレスを貼っておきます。http://bungoku.jp/ebbs/20120214_394_5873p 不条理さみたいなものが薄皮一枚で繋がっていく様子が粛々と描かれていて、とりわけ終わりの三行、「どこかの踊り子が スカートを揺らせて ふっくらと夜を越える」が、詩の風を運んできてくれるような上手い表現だと思いました。ただ、全体的に文章や構成は面白いのですが、例えば『冬の日曜日』に感じる、まとまりや共感には行き着いていないのかなと感じます(そもそも別の作品同士を比較するということにあまり意味はないかもしれませんが)。 しかし、表題の『踊り子』というのが、根を張らず各地を転々とする職業というイメージを僕は勝手にもっていて、この作品からも、どこへ行っても自分のいるべき場所が見つからないさまを漠然と感じました。それを最後の三行がやわらかく包み込んでいるように思います。 “あたし”と“わたし”という人称が交互に使われていて、同一なのか別人なのか、ちょっと迷いました。

1
夏立むぎ
1.5Aさんへ
(2025-01-08)

自分でもまとまりのないものになってしまったな…と思いながら、個人的に終わりが好きな感じで書けたので投稿しました。あたしとわたし、たしかに交互に使われていますね、あまり考えずにバーっと書いたので明確な違いはちょっと分からないのですが、A・O・Iさんの仰るように感情的なあたしと理性的なわたしで違いを持たせているのかもしれません。連ごとにだいぶ雰囲気を変えてしまったので、迷いを持たせてしまったという部分ではよくなかっですね…、次回へつなげる反省ポイントです。ご指摘ありがとうございます!しかし、とりあえずこれはこれで完成ということで後悔はありません!コメントありがとうございました!!

2
熊倉ミハイ
熊倉ミハイ
作品へ
(2025-01-21)

面白い。AOIさんや1.5Aさんの言うように踊り子や果実ももちろん重要なんだけれど、なら前半は何が描かれているのか。動物園、農園、不動産屋…… 農園と動物園の違いはなんだろう。パッと浮かんだのは、搾取といいますか、収穫されるかされないか。「しまうま」も毛を刈り取られますが、果実は丸ごと身をもぎ取られる。「わたし」も果実でできた肉体で、不動産屋は資本家で……? (社会的な知識があれば、もっと構造を上手くまとめられそうなんですが……) 上のように考えると、「わたし」の歯が抜けていくのも分かるというか。要は、搾取して食べる側に回れなくさせられているような。 あとはその他は、1.5Aさんのおっしゃるような、自由な踊り子、放浪への憧憬、楽園を望むような最終連。前半の現実感が強かったので、この幻想とのコントラストが非常に出ている。好みが分かれそうですが、そういう強引さや継ぎ接ぎ感は、リアルを表していると思います。私の好物です。良い詩でした。

1

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投稿作品数: 2