別枠表示
sukuware
日常、 に 不在性を 置いて 皿の上 春の雨がふりしきり、跳ねる 私はそれを 視ていなかった 聞いてもいなかった ただ とおくある あなたの声を 聞いていた、 霊性が踊る、 よじれる 笑う 途端 トタン屋根に打つ雨の音が 近づいて 視れば竹たちは元気です と いって この語り部を 信用してはならない、 大分 弱っちまっているからさ、 ノイズ の所為で 頭を 掘った穴の中に(ほんとうに?) 入れたいくらいなのさ(やれやれ) かよわい動悸で 火にゆるされる その火は 鬼火だった その夜に 救出されて 川辺はきれい 輝いていたから ふるえて たゆまぬ努力も(ほんとうに?) 無駄ではなかったが(していたの?) 救われて それに酔うということはできない それはゆるされてない ただあなたの笑顔が ズームに記憶され くりくりの眼が うれしかった、 ので 喪服のサイズを確認し 目にとめたボタン 銀のボタン ではないが においを 喪服の匂いを嗅ぐと 落ち着きます も、 濡れて 漂着していた カムパネルラ じゃないけれど さよならも言わずに 猶予だけ 与えて下さって有難かった 雨は更に 近づいて 溜息は 夕暮れ刻の隙間に入り もう出てくることは ありません いつまでも 平穏無事ではいられない だって 力が 尽きていくから、 カラーフィルムの 世界を丹念切ってゆくと 母が 居た それは欲しいものだったので ポケットへ入れて 三日の内三日寝る 起きると まだ雨が降っていた
sukuware ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 827.6
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2018-03-01
コメント日時 2018-04-07
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
不在性、と早い段階で抽象性の高い言葉を置くことの効果が、うまく効いているかどうか。 空っぽの皿に春の雨が跳ね返る、という具象的なイメージから、既に失われた人の声、記憶の中でのみ生きている人の面影が断続的に浮上してくる・・・という方向に広げていってもよいかもしれないと思いました。 〈さよならも言わずに 猶予だけ/与えて下さって有難かった〉 別れるまでの、心の身支度。心の準備を整える時間。 感傷や喪失に耽溺するのではなく、悲しみを記憶の「呼び出し」「呼び戻し」に置き換えていくために必要な時間や心の準備。それは、ナマの悲しみを思い出という懐かしさ、その人だけの財産に置換していくための時間だと思います。 その行為を「ゆるされ」たものと捉えるところに、恩寵と触れる一瞬への想いを感じました。 (世界を丹念に、でしょうか?)
0田中恭平さん、はじめまして。 トタンは中原中也の「春の日の夕暮」で、直後の竹は萩原朔太郎だろうか。(やれやれ)は村上春樹かもしれないしカンパネルラなら宮沢賢治。きっと他にもたくさんあるのだろうけれど、話者は、自身がこれまで吸収してきたものたちにsukuwareて、いま目の前にある大切な人の不在という現象を冷静に受け入れられている。 そんなふうに、私は読みました。
0